私とカートゥーンと鈴と。: 火星人メルカーノ Mercano el marciano

火星人メルカーノ Mercano el marciano

火星人メルカーノ Mercano el Marciano 
2002 (亜爾) 60/100 

監督 フアン・アンティン
美術監督 アヤール・ブラスコ
製作 カロリーナ・コルデロ
脚本 フアン・アンティン ラウタロ・ヌニェス・デ・アルコ

先日、フランク・アンド・ウェンディというエストニアの長編アニメーションを鑑賞した。エストニアを舞台に二人のFBI捜査官が、世界中を股にかけ奇妙な冒険をするもので、破壊的なユーモアが炸裂した興味深い作品だった。ただ、米国やソ連、中国等の超大国を茶化すだけで、製作国のエストリアに関するネタが曖昧なのが非常に惜しかった。

 今回は、製作国自身を揶揄した似た作風の長編アニメーションの紹介。

予告編

あらすじ

  •  飼い犬の敵討ちの為地球に来た火星人メルカーノ。ところが、ゴーストタウンのように荒れ果てた首都ブエノスアイレスに不時着し、故郷へ帰れなってしまった。家電屋から盗んだPCを使って、暇潰しに創造した仮想世界はオタクを虜にするものの、彼の親父の金儲けの材料として狙われていたのだった... 
公式サイト 火星人メルカーノ




殺伐とした手描きとCGが織り成す大混乱の行く末は...

 素朴なタッチ。俊敏性を要求される人物同士の追跡劇やメルカーノが創造した仮想世界ではCGが採用されている。容赦ないグロテスクと下劣な言葉に適応したデザインは『サウスパーク』を彷彿とさせるが、決して二番煎じではない。寧ろ、南米でしか表現できない究極のシュールレアリズムに到達するほど斬新で刺激的だ。

 英語圏でも中東でもない、南米系の縮こまった口調のスペイン語は日本人には不安に聞こえるであろう。メルカーノの友達として悪徳企業に立ち向かうオタク少年の声は、凄く聞きづらい。キャラクターデザインこそ乱暴で素朴でシンプルだが、そんな彼らには対象的に映像全体は非常に豪華。広大な世界に敢えて彼らを配置することで、チープだけど未話せない感覚に陥る。

 アルゼンチン国民へのアンチテーゼとしても機能している。冒頭の都市部での強盗事件から察せる治安の悪さや、国籍関係なく通用する『モダンタイムス』から続く科学技術への警告などの社会問題を啓蒙する作品としても非常に興味深い。

 音楽は基本的に殆ど無い。展開は前半までのんびりとしているため、ストーリーが気に入らないと間違いなく寝る。ただ、DVDのパケ絵や予告編に映る本作のデザインに惹かれた方ならお勧め。

 火星人が物語の中で出会う地球のオタク少年との友情はかけがいのないもの.....にはならない。ラストシーンはある意味衝撃、っていうか(いい意味で)拍子抜けした。


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