私とカートゥーンと鈴と。: チキンラン Chicken run

チキンラン Chicken run

チキンラン Chicken Run
2000 (英) 70/100 
監督 ニック・パーク、ピーター・ロード
脚本 キャリー・カーク・パトリック
原案 ピーター・ロード、ニック・パーク
製作 ニック・パーク、ピーター・ロード、デヴィッド・スプロクストン
製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ、ジェイク・エバーツ、ジェフリー・カッツェンバーグ、マイケル・ローズ
音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、ジョン・パウエル
撮影 トリスタン・オリヴァー、フランク・パッシンガム

予告編 


ストーリー
 トゥウィーディ養鶏場では卵の生産に陰りが見えた鶏達は躊躇なく屠殺されていた。そんな状況から抜け出したい鶏のジンジャーは、この”監獄“からの脱走を計画するものの失敗続きの毎日だった。そんなある日檻の向こうから”空飛ぶ鶏“が落ちてきて...



英国の作り手と米国の作り手のコラボレーション
 痛快で爽快。そして、ユーモアのセンスも健在。

『ウォレスとグルミット』シリーズを筆頭に様々な映像作品で大衆も批評家をも満足されてきたアードマン・アニメーションズ。そんな彼らは、90年代後半に本格的な海外進出を計画していた。丁度その頃、ベンチャー企業としてあらゆる業種に着手していたドリームワークスがそこに目をつけ、1997年に5本の映画の配給契約を交わした。そんな5本の映画の内の一作目がこれ。 

 英米合作映画だが、ドリームワークス側は脚本や映像に関して大まかな指示は行われていない。しかし、全世界での公開を視野に入れていることに怖気づいたのか、イギリスユーモアを抑えてハリウッド的な展開が多く挿入されている。実際、クレイアニメではまず見られない活発な動きや動かす物量の多さ・ハリウッド俳優の起用(メル・ギブソン)で、そのことを気にしてしまう方が多いと思う。

 それでも、この作品にはアードマンらしさは十分に残っており、今見ても十分楽しい。


 
 まず、キャラクターの造形が素晴らしい。本作の主要人物の鶏は知恵を持つ生命体だ。本来ならば内側に歯が生えたくちばしは、異質で不気味である。しかし、口なしの犬を愛おしく魅せることに定評のあるニック・パーク氏が持ち前の巧みな造形力でその違和感を掻き消している。


 普段の会話から、チキン達の接吻に至るまで歯に対する嫌悪感がなかったのは素晴らしかった。食用の養鶏というだけあって、尻部分の羽毛や肥大した部分と象徴的に見せる努力にも抜かりない。また、ニックパーク氏の作風で生み出された鶏達や道具の調達屋をネズミ、悪役のミスター・トウィーディも可愛らしかった。




 映画のオマージュも多い。砂漠に墜落した残骸から飛行機を組み上げる『飛べ!フェニックス』、ナチから逃れための壮大な計画の一部始終を描いた『大脱走』など様々。映画ネタを軽く模倣して笑いを取るということはなく、コマ撮りでは困難とされるアクロバティックな動きを挿入しているので飽きることはない。パイ製造マシンでの救出劇や"飛べないチキン"が飛んで逃げるシーンはCGアニメではないかと疑ってしまうほど出来が良い。

 物語そのものも、悪役キャラの企みが致命的にアホなこと。そして、メル・ギブソン演じるロッキーの薄情さを除けば問題なかった。ただ、細部に至るまで笑いのセンスが米国式に踏襲されているのが惜しい。

 なお、公開当時はまだCGアニメーションが浸透しておらず、映像体験としての宣伝効果もあったせいか、コマ撮りアニメの映画の中では2018年世界一の興行収入となっています。
    

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