私とカートゥーンと鈴と。: ホームオンザレンジ ~にぎやか農場を救え!~ Home on the Range

ホームオンザレンジ ~にぎやか農場を救え!~ Home on the Range


ホーム・オン・ザ・レンジ にぎやか農場を救え!
Home On The Range
2004 () (PG) 22/100
監督 ウィル・フィン ジョン・サンフォード
脚本 ウィル・フィン、ジョン・サンフォード、マイケル・ラバシュ、サム・レヴァイン、マーク・ケネディ、ロバート・レンス
製作 アリス・デューイ
音楽 アラン・メンケン

 ジョン・ラセターがディズニーを立て直す前の最後の手描きアニメーション。 あらゆるジャンルで真摯に立ち向かっても、それ相応の成果が出なかったためにクリエイター側が血迷ったような印象を受けた1作。

予告編

あらすじ タチの悪い牛泥棒によって農場主達は次々と廃業に追い込まれていた。そんな中小さいながらも動物達が幸せに暮らすにぎやか農場にも危機が迫る。このピンチを救うために3頭の牛達が立ち上がるが....


原点回帰というべきか、子供への媚びというか

 ピクサーやドリームワークスが批評的にも経済的にもCGアニメを爆発的にヒットさせていた頃、自信をもって製作してきたクリエイター達は意気消沈していた。それも無理はない。新作が公開される度に、技術の限界まで突き進んでいたのだから。ムーランでのフン族の群衆や、ターザンにおけるジャングルの緻密な描写、リロ・アンド・スティッチにおける水彩調のアニメーションなど、当時のCGアニメと同程度の試行錯誤があったことは確かなのに、興行的には失敗続き。

 Mr.インクレディブルシュレック2、ポーラー・エクスプレスと同年に公開された本作は、今迄培った映像技術を悉く無駄にしている印象を受けた。ミュージカル路線を外れて、壮大な冒険モノが比較的多く続いてきたディズニーが、昔ながらのTVアニメを思わせる西部劇を描いたのはまだ分かる。だけど、筋書きまで単純に見せる必要は無かったはずだ。物語の行く末は小学生でも読めるほどシンプル。ファインディング・ニモのように人物設定や説得力のある物語で退屈さを拭うことも可能だが、本作はそうじゃない。

 牛泥棒を捕まえて、その報酬で、牧場を救う。 これだけ。それ以外の要素は全部蛇足。




 主人公の牛トリオは、ロザンヌ・バー、ジュディー・デンチ、ジェニファー・ティリーが声を充てている。俳優でメインターゲットの保護者も引き込もうとするのはいつものことだけど、子供達は気にしないだろうし、この人選は少し爺むさくないかい?

 ジョークセンスは失笑モノで、DVDに収録された解説映像を見ると愕然とする。特に、何気ない会話だとスルーしていた部分が、一番の笑いどころだと知った時は唖然とした。ココらへんの要素は、西部劇の十八番や単純明快な内容が多かったTV用カートゥーンの要素を彷彿とさせる。古臭いものを連想させるアニメというと、ドン・ブルース監督の『子猫になった少年』と共通する部分がある。"人気がない"という点においても。

 第一、2004年に西部劇を題材する時点で負けが確定しているようなもん。ディズニー社自身、本作の数年前に『トイストーリー2』で至極丁寧に解説してたじゃない。「ロケットが打ち上がると、子供達は宇宙(の玩具)に夢中になった。」ってさ。

 唯一の長所はアラン・メンケン提供の楽曲と、その曲をより盛り上げるミュージカルシーン。吹替版では『トランスフォーマー』シリーズのコンボイ役や、最近発売された『名探偵ピカチュウ』のピカチュウ役で有名な大川透氏が印象的だ。彼が歌うヨーデルシーンは素晴らしい。発色の濃いサイケデリックな牛の大群を他所に流れる、声優業を傍らとする方でもなかなか難しいヨーデルの音色は必見&必聴。

 同時期のアニメ映画のラインナップを見ると、日本での劇場未公開も英断だと思えた作品。なお、つい最近までディズニーのクリエイターの長ことジョン・ラセターは本作品と、『チキン・リトル』、そして『ライアンを探せ』をディズニーの汚点と認定していたという。

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