私とカートゥーンと鈴と。: 天国から来たわんちゃん All Dogs go to Heaven

天国から来たわんちゃん All Dogs go to Heaven

天国から来たわんちゃん
All Dogs Go to heaven
(英愛合作) 1989 55/100

監督 ドン・ブルース
脚本 デビッド・ウエイス
製作 ドン・ブルース、ゲイリー・ゴールドマン、ジョン・ボムロイ
音楽 ラルフ バーンズ
主題歌 Love Survives

 ありきたりな作品を創ることに嫌気が差して、ディズニー社を退職したアニメーター、ドン・ブルースの代表作の一つ。『ニムの秘密』、『アメリカ物語』、『リトルフット』と立て続けて大ヒットを記録してきた彼の活躍に陰りが見え始めた頃の作品。アメリカの倫理規定やレーティングを考えると、設定や展開のキナ臭さに思わず「よくG指定に抑えられたな」と感心してしまう。

予告編


あらすじ

  •  収容所から脱走に成功した雑種犬のチャーリーとイッチー。かつての賭博場の共同経営者カーフェイスに再会するものの、利益を独占したい彼は裏切り、チャーリーを殺害する。しかし、チャーリーは天界に召される直前で、命の時計を奪い再び下界に戻る。そこで相棒の「イッチー」と再開し、カーフェイスが何か企んでいることを知る。
     復讐のために準備する中、カーフェイスが特殊な能力を持つ少女を監禁する現場を偶然発見する。そして、チャーリーは荒稼ぎの目的でその少女アン・マリーを救出するが.....
 ドン・ブルース監督は残念なクリエイターだ。ディズニー社から独立して製作してきた映画は決して悪くないものの、興行的成功の理由に彼の監督業が関係ないとされるからだ。『アメリカ物語』や『リトルフット』ではスピルバーグか主題歌のお陰とされ、1997年のアニメ映画『アナスタシア』では高品質の作画と音楽から連想されるディズニー的構造が高く評価されている。『ニムの秘密』は成功こそ収めたものの、同時期に公開された『E.T』の影響であまり記憶に残らなかったとされる。

 そんな中で個人的には、ドン・ブルース監督の中で一番好きな作品がこれだった。しかし、この映画も劇場公開時には『リトル・マーメイド』と同週の公開という最悪のタイミングが原因で一般的には失敗作の烙印を押されている。
 よく彼の作風はディズニーの勘違いされる。しかし、個人的にはこの時期からディズニーらしい作画は消え始めている。アニメーションはディズニーの摂理でヌルヌル動くものの、所々でディズニーらしい柔らかな曲線がなくなり角ばっている。彼の次回作『子猫になった少年』ではその影響が強くなり、その後の『サンベリーナ』ではワーナー寄りの印象を受けるようになる。

 設定や場面は少々きな臭いが、明るく馴染みやすい音楽が盛りだくさんで、子供でも問題なく楽しめる。レーティングに五月蝿くない日本なら尚更。血は飛び散らないし、デフォルメの強いキャラが下品なことをする訳でもないので、全然問題ない。

 主人公のチャーリーは控えめに言っても、外道。正直見た目が好印象なだけで腹黒さは悪党のカーフェイスと左程変わらない。金銭目的で少女を救い出し、鉄火場で荒稼ぎする主人公なんて聞いたことが無い。こういう設定自体は悪くないがローバー・デンジャーフィールド同様、設定だけ大人ぶって結局は小さい子供向けのお話に落ち着いている。投稿主はこういう現象が大嫌いである。少女のアン・マリーは白雪姫の様な風貌で純粋無垢であるが、善人(彼女)と悪人(チャーリーとイッチー)の落差が激しすぎて嫌だった。勿論、価値観による衝突は起きることは悪くないけれど、ヤクザと一年生が対等に話しているみたいで違和感が半端ない。
 
 また、主人公が即効死んで天国に行き、即生き返るといった成り行きはいいが、ただ単純に彼が復讐を果たすために下界に降り立つのであって、善根を積むといった要素がないのはどうかと。まあ、”All dogs go to heaven”犬は皆天国へ行く』なんて題名なら仕方ないか....



 歌のシーンはYou Can't Keep a Good Dog Down Let's Make Music Togetherが印象的。前者はカジノを背景に、刑務所での生活と犬であることの素晴らしさを謳う曲で、後者は巨大なワニが犬を捕食するところからとんでもない変貌をとげるミュージカルである。このワニが登場するシーンは、本編とはかけ離れたテンションで曲が進んでいき、なんの脈絡もなくワニの存在と共に消えていく。物凄く変な気分に浸れること間違い無し。

 そして、個人的に一番残念だと感じたのはカジノという題材がそろっているのに『ポーカーをする犬Dogs playing Poker』のシーンが一切無かったこと。
(本編に一瞬だけ映ってました。)


『わんわん物語』のトランプ以上に大胆な犬が観たい方にはおすすめの一作。

 

2 件のコメント:

  1. ポーカーをする犬いますよ。一瞬ですけど
    https://i.imgur.com/bevqbP1.jpg

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  2. 教えていただきありがとうございます

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