私とカートゥーンと鈴と。: ブラック・ダイナマイト Black Dynamite

ブラック・ダイナマイト Black Dynamite

ブラック・ダイナマイト Black Dynamite
2012-2015 (米) (TVMA) 

 人種差別が蔓延るアメリカで、70年代を中心に大流行したジャンルがあった。その名は"ブラックスプロイテーション"以下(BP)。アメリカ国内の黒人のステレオタイプを敢えて全面に出し、黒人を主軸とした俳優を出演させたのが特徴であった。今回は、そんな一時の流行を現代に蘇らせた映画のTVアニメ版の感想。

本編予告編


 最近では『ナードランド』を製作したアニメスタジオ【Titmouse】が送る、痛快アクション”ブラック”コメディ。原作は、2009年に公開された同名映画。内容は取ってつけたようなアフロや馬鹿デカい銃を携えた主人公が、麻薬組織に立ち向かうというもの。(BP)の尊敬の意が示されていると同時に、特徴的だった部分をより魅力的にブラッシュアップさせているとして、高く評価された。

本TVシリーズのパイロット版はこちらの公式サイトから閲覧可能。(日本語字幕無し)
ブラックダイナマイト第一話

映画予告編↓

 そして、こちらのアニメ版は実写版では不可能だった演出や構成を練り込んで、映画版を優に超えた痛快アクション・コメディに仕上がっている。黒人主導のニグロネタを大量に消費する作品『ブーンドックス』のスタッフを結集させたことで、作風とセンスを見事に継承している。1970年代のアメリカ合衆国を舞台に、マイケル・ジャクソン、OJ・シンプソン、ビルコスビー、シドニー・ポアティエ、リチャード・プライヤー等の名立たるセレブリティ達が、一話毎に事件に巻き込まれていく。

 そんな彼らと協力し、彼らを制圧し、粉砕するのが、仏頂面のカンフーマスターのブラック・ダイナマイトと、頼りになる仲間たちブルホーン、クリームコーン、ハニービーの四人衆だ。

 公の場で活躍する有名人から裏方で暗躍するキャラクターまで徹底的にコケにする。もう抗議の電話が来ても文句が言えないほどに。アダルトスイム作品で日常茶飯事だとしても、こちらの場合大半は放映当時存命の人物ばかり。それでも、本作の弄り方は軽やかなテンポで抱腹絶倒させてくれるから、嫌な印象が残らないのが素晴らしい。

 例えば、一期の第二話ではマイケル・ジャクソンが登場するが、初鑑賞時、私はその風貌やエンターテイナーとしての狂気には思わず唖然としてしまった。マイケルに歓喜したスタッフが随所に挿入したネタや、存命中に流行した根も葉もない噂、ゴリ押しの連続で拒否権なく納得させてしまう圧倒的な説得力など... まさに衝撃的だった。

 また、番組内で暗黙の了解となっている数々のお約束にも素直に受け入れられるのが良い。いかなる場合でも関係なく爆発が発生したら、すかさず"Dynamite, Dynamite!"と音声が流れたり、"ブラック・ダイナマイト"という根拠のない言い回しでも説得力のある発言として処理される独特な世界観。加えて『ブーンドックス』で培われたANIME絵の発展形として映るデザイン。発色の濃い色使いと70年代末期から80年代初頭の米国文化を織り交ぜた演出でもう病みつき。

ブーンドックスでは少々顔の形状がズレたように錯覚する場面があったものの、アニメーションの致命的なエラーはほぼなかった。冒頭から終盤まで、型破りな黒人の中の黒人の暴れん坊っぷりを堪能できるアダルトスイム作品。



 

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