私とカートゥーンと鈴と。: ブレイベストウォリアーズ Bravest Warriors

ブレイベストウォリアーズ Bravest Warriors

ブレイベスト ウォリアーズ Bravest Warriors
2012- (米) 


 大衆の反応を伺う為に試験的に放映するパイロット版は、放映時の放送局でのシリーズ化を約束させるものではない。Frederator Studiosの代表作である『アドベンチャータイム(AT)』はその一例である。ニコロデオンでの新人発掘番組枠で放映されたそれは放送局側の判断により却下された。しかし、カートゥーンネットワークに放送局を移行し放映を開始すると爆発的なヒットを飛ばしたのだった。

 今回はそんな訳ありの作品についての紹介。

 Frederator studiosでは放送局への売込を断念した作品をシリーズ化する場所がある。Youtubeのチャンネル"Cartoon Hangover"だ。サービス開始初期はディスコ音楽に乗せて単純作業を延々と繰り返すロボットひよこの集団がウサギに浣腸拷問を加える映像といった、実験的なものが大半を占めていた。現在では多少アナーキーな空気は払拭されたものの、倫理規定や常識に束縛されない刺激的な作品が数多く揃っている。

 そのチャンネルの代表作である『ブレイベストウォリアーズ(BW)』はATと同時期にニコロデオンでパイロット版が放映されたおり、こちらは放送局でのシリーズ化を達成できなかった作品である。間髪入れずにギャグを投入するギャグアニメの系譜に沿うものの、BWは数分程度の短編であるせいかATよりも困惑しがちだ。良い意味でも悪い意味でも。

 ATとスタッフが大差ない本作はより混沌しており、話数毎に鑑賞しても宇宙活劇に相応しい物語を微塵も感じないのだ。主人公達は消息不明の両親達の稼業を継承し英雄として事件の解決に挑む"Bravest Warriors"ではあるものの、彼らが遭遇する事件一つ一つを覚える必要はない。ただ後期には感傷に浸れるロマンティックな恋愛劇や連続劇だと実感できる明確な物語が提示されるので、全ての出来事が無意味なわけじゃない。『アドベンチャータイム』に関心が沸かなければこの雰囲気を酷く嫌うはずだ。

 逆に本作で素晴らしいのは、数分程度の瞬間的な時間に彼らの会話や日常生活が凝縮されていること。画面に映る全てが情緒不安定な日常茶飯事に溢れるシュールレアリズム。脈絡なく出現する宇宙人に突然の死。奇声をあげて空間移動をする可愛い宇宙人。絶体絶命の状況を無視した愛の告白など... どこを抜粋してもまともな場面がない。

 特にキャットバグはキュートと狂気が紙一重で番組の全体像を端的に表現しているようだ。彼は無邪気で掠れた声色とアイコン化された表情や外見は可愛らしい。しかし、その声は時に周囲の興奮状態を強調させている。また、屠殺された家畜の断末魔と共に空間移動する彼の特殊能力には言葉にし難い恐怖がある。

 また、人間(的)関係が妙に現実的なのが面白い。男子高校生が自分の欠点を言及された途端に部屋の掃除や衣服を整えたり、生活習慣に親近感があったりと色々抜け目ない。なお婉曲表現を利用せずにぼかしで修正したり、何気ない会話に際どい単語が頻出するので間違っても子供には見せないように。(日本語吹き替え版は多少表現がマイルドです。)


 

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