私とカートゥーンと鈴と。: クールワールド Cool world

クールワールド Cool world

クールワールド Cool World
1992 (米) 35/100

 フリッツ・ザ・キャット、指輪物語、魔法物語"ウィザード"などの子供を寄せ付けない怪作を幾度となく創り上げた奇才・ラルフバクシが描く一風変わったラブストーリー。彼の長編は何作もあるものの、オンライン配信やDVD販売が殆どありませんが、幸いにも本作品に限っては日本語字幕が収録済みのDVDがあるので、そちらについて書こうと思います。

 当時まだ代表作のない頃ブラッド・ピットや、ガブリエル・バーン、キム・ベイシンガー が出演しているものの、俳優目当てで見るのはちょっとアブナイかも。

ストーリー
 第二次大戦が終結した1945年のアメリカ。故郷に帰って来た青年フランク(ブラッド・ピット)は母親と幸せな生活に戻るが、不慮の事故により母は帰らぬ人となった。その事態に呆然となるフランクだが、突然閃光が走りなんとアニメの世界に入り込んでしまう。

そこで、出迎えたチビのヒゲ博士によると、この世界"クールワールド"と、現実世界の間を垣根なく移動するため研究を行っていた所、原因不明の作用でフランクをこの異世界へと迷い込ませたのであった....



感想
 まず、結論から言うとアニメと実写の融合という点では完全にこれは失敗作である。勿論、この陰惨でアナーキーでイカれた世界は十分魅力的で、監督の力が遺憾なく発揮されているけど、使い方と技術が中途半端。


 ロジャー・ラビットでは、アニメと実写の撮影にゴム人形を用意したり、俳優とキャラの視点を常に定めるなどの違和感をなくす努力をしているのだが、本作品ではそういった部分が粗く、俳優の存在が浮いてしまっているのだ。
 

 例えば、この映像の1:35辺りを見て欲しい。ロープに繋がれた青年は相手を見るように顔を上げているのだが、明らかに彼の視線はズレているのである。また、アニメーションは綺麗であるものの、全体的に平面で立体感がない。普通のアニメなら全然問題ないけれど、アニメとの共演の場合、現実には存在しない登場人物を相手に意思疎通を図るのだから、演技や撮影に慎重に拘らないとこういったことが起きてしまうのである。創意工夫を重ねることが本作品においては最重要であったはずなのに、製作者はなぜこの部分に注力しなかったのかが謎である。特にロジャー・ラビットというお手本が公開から4年も前にあったにも関わらずだ。

 クールワールド自体は前述の通り、"とち狂った"カートゥーンを連想させる気持ち悪いアニメが不規則に暴走している暗い世界である。が、現実世界には一切関わらないのである。つまり、アニメと実写の融合というより、アニメと実写が中途半端に別々に存在するものとして描かれているような印象を受ける。オチは言わないけど、とにかく雑。

 ただ、実写パートのドラマは普通に楽しめた。ブラッド・ピットのファンはアニメの世界に陥る前までなら必見かも。また、アメリカンな魑魅魍魎キャラの中の紅一点、ヒロインのホリーも魅惑的でした。ロトスコープを使った様子もなくジェシカ・ラビットに負けず劣らずのセクシーな女性でしたし、ブラッド・ピットの会話シーンでの違和感も掻き消されるほど印象的でした。

 アメリカ本国では、ラルフ・バクシは大人向けのアニメを作り続ける影の実力者のように認識されているのだけど、興味深い"Interesting"作品ばかりで面白い"funny"作品がほぼないのが惜しい。
ただ、怪作であることには変わりないので滅茶苦茶風変わりな映像を見たい方にはおすすめ。

↓比較のために一応
アニメと実写の完成形ロジャー・ラビットのワンシーン


   

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