私とカートゥーンと鈴と。: 猫たちの聖夜 Felidae

猫たちの聖夜 Felidae

猫たちの聖夜 Felidae
(1994 (R) 70/100

 輸入版DVD(英語版)で視聴。本作の英語版はプレミア化しており、手に入れるのを半ば諦めていたのだが、都内のDVDショップで偶然目にしたので即座に購入。

 原作はトルコ生まれの小説家アキフ・ピリンチによる同名の推理小説。1989年にドイツ・ミステリ大賞を受賞し、「猫たちの森」や、猫研究書「猫のしくみ」といった続編も出版されている人気作。彼自身は猫崇拝者と呼ばれるほどの猫好きらしいが、猫好きには少しつらい内容である。

 また、この作品の製作国はドイツなのだがこれはかなり珍しい。ヨーロッパのアニメーションというと基本的に、イギリス・フランス・ロシアといった国がよく名を連られる。しかし、ドイツというのはあまり聞いたことがない。主な理由としては、ドイツ出身のアニメーターが仮にドイツ国内で企画をしても、隣国でより高待遇のスタジオで製作した方が都合良く、その結果中々独自の文化が育たないからだ。投稿主でも存在を知るのは本作品と『ピコとコロンブスの大冒険』、そして『大好きマウス』ぐらいである。
 
 原題の”Felidae”はラテン語で【ネコ科】の意味。英語のfelineとほぼ同義。

予告編(↓ドイツ語注意)

ストーリー
 生意気で皮肉屋のフランシスは、冴えない飼い主とともに新居"とは程遠いボロ屋に引越してきた。ところが、彼はその庭で無惨な猫の死体を目撃する。近所を縄張りとする青髭曰く周辺で殺しが多発しているらしい。青髭に気に入られた彼は、長老のパスカルと共に捜査していくが...




感想
 この主人公のフランシスは、4chanやドイツ語の通販サイトの評価を見る限りではあまり原作らしくないと酷評されていたのだが、私はそう感じなかった。むしろ、原作通りだと感じる。頭脳明晰で行動力があっても、いけ好かなく全く可愛くない姿はまさしく彼そのものだし。
 というかこの主人公は天才すぎる。三毛猫ホームズも真っ青だ。文字を読めるならいいが、洞察力に優れている上に活動的で、最終的にはいともたやすくパソコンを操作してしまうのだ。

 アニメーションは流石にディズニーほどの滑らかさは無いものの、80年代後半、特にオリバー並の技術力で製作されたのだろうと感じる。冒頭の車の動きはCGだし、目立った作画崩壊はなく安定しているからだ。(まあ、グロいシーンでD社とは一気に差別化していくけどね.....)
 
 事件を調べていく内に残酷な動物実験の話が出てきて、それを追うように死体の数も増えていく。そして、推理モノとしてもかなり面白くなっていく。謎の集会を垣間見た彼が追手から逃げ出すシーンや、悪夢を見るシーンは特に良かった。家の構造がはっきりと視聴者にも解るように丁寧に行動の過程を描いており、操り人形のごとく蘇る猫たちを猟奇的に映し出しており、強烈なインパクトを残していたからだ。そして、終盤も上手く締められており物語としても良かった。

 際立った短所はないが、挙げるとすればやはりグロい。死体がグロ過ぎる。この作品に限ったことではないのだが、大人向けの海外アニメーションの動物もののグロシーンは何かとエグい。勿論、展開の上では重要なのだが、人間におけるスプラッタ描写をそのまま動物に置き換えたかのようにグロい。そこまでリアル至高なら、いっその事ロトスコープでも使えば良いのにと思う。

 ドイツアニメ史上最大の制作費を注ぎ込んだだけあって出来は良く、決して悪くない作品なのだが、結果的にはカルト映画と化した惜しい一作。
余談
 本作のDVD購入目的は本編の視聴以上にドキュメンタリー映像や舞台裏を観るというものでしたが、ありませんでした。そのため、苦労して手に入れたものの、今ではあまりDVDの有難味を感じていません。また、もし本編が観たい方はネットで検索してみてください。英語版は見れるはずですので。

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