私とカートゥーンと鈴と。: ピアース姉妹 Pearce Sisters

ピアース姉妹 Pearce Sisters

ピアース姉妹 Pierce Sisters
2007 (英) 58/100



2007年度のアヌシー国際映画祭の短編部門審査員特別賞受賞作品。

 『ウォレスとグルミット』で有名なアードマンスタジオは、アート系や発想重視のアニメーションを頻繁に製作しており、その作品群は英国らしい皮肉と独特なユーモアが持ち味となっている。日本でもアードマンの傑作短編集はDVDで販売されているが、今回は未収録の作品を紹介する。

 原作は『穴掘り候爵』で知られるミック・ジャクソンの短編集『10の奇妙な話』の一編。

 ソング・オブ・ザ・シーの舞台はアイルランド。ピアース姉妹は英国。海は近くともこちらは大分汚れています。

本編


感想
 エグい、けど愛おしい。そんな作品。
 会話はほぼ無く、状況説明もない9分の短編。青年を救助した背景や、その彼の辛辣な対応、倫理的にアウトな行為を行なった理由全てが語られない。それらは視聴者の想像に委ねられる。世間にもこのような人間は幾らでもいるが、常識から外れた行動する様を丹念に、重厚に、描ききったアニメーションはなかなか無い。

 原作との大きな違いは英国らしさを印象付けていることだけ。紅茶とかね。

 漁村で静かに、孤独に暮らす醜悪な老姉妹の不器用な"触れ合い"の一部始終は、グロテスクで味わい深い。カットアウトで編集したコンピューターグラッフィックスもまた、なんとも言えない。特に「Would you like some tea? 」"お茶はいかが?"と呼びかけるシーンはぞくぞくする。紅茶狂い好きのイギリス人らしい黒さが癖になる。

 そんな作風だから、終盤のソシオパスの所業ともいえる行為にも魅了されるのだ。(絵柄と合うという意味で)アードマンらしい魅力的な短編の一つ。


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