私とカートゥーンと鈴と。: ソング・オブ・ザ・シー -海の歌- Song of the Sea

ソング・オブ・ザ・シー -海の歌- Song of the Sea

ソング・オブ・ザ・シー 海の歌 Song of the Sea
(PG)(アイル) 2014 70/100 


 絵本のような作品。そして、絵本のようなシンプルなストーリー。
原作はケルト神話の【セルキー伝説】。本作品はその後日談を中心に描いています。
※(物語を堪能しようとお考えの方は事前予習必須です。世界観に浸りたい方なら前知識なしでも楽しめます。)






予告編




感想
 素晴らしい。が、"脚本を楽しむ"娯楽作品ではない。

 物語はありきたりで退屈かもしれない。しかし、それを突っ込むのは野暮。アカデミー賞にノミネートした時も話題になったが、民謡や神話をモデルにしているのだから、無理に内容を詰めて喜劇をやる必要はない。不可能ではないが、それを実行すると大抵"原作レイプ"となる。『ヘラクレス』が良い一例。かといって極端に映像や語ることに拘れば、『かぐや姫の物語』のような際物になってしまう。
 この作品はアイルランド人にとって常識レベルの伝承や民話をアニメにした作品なので、アジア以外の方に"西遊記""竹取物語"、日本の方に"スリーピーホロウ""ペコズビル"を定番のように語るのと同じこと。

 そんな物語と映像美のバランスが上手く釣り合っているのがこの作品。

 妖精セルキーのブロナーは父・コナーと結婚し、息子も産まれ、幸せな家庭を築くものの、娘の出産をきっかけに、海へと戻ってしまう。(この時コナーは妖精だという事実をはっきりとは理解していない) そんな境遇を経験した息子ベンとその妹のシアーシャが主人公のお話。兄妹の掛け合いや力を合わせていく姿は、定番だけど微笑ましい。
 キャラクターデザインは独特だけど慣れやすいので安心。ゴマちゃん以上の可愛らしさがあるアザラシは中々拝めないと思う。

 映像の素晴らしさは言わずもがな。本作品の監督の前作『ブレンダンとケルズの秘密』ではやや造形への違和感の残るシーンがあったものの、これには全く無かった。どこを切り取ってもポストカードに最適な背景美術の数々。"青""蒼"の使い方が感情表現に上手く混じり合っている。

 伝承・民謡研究への興味が湧いてくるほど魅力的な妖精たちも良い。ディナーシー(地域の妖精、少々苛立つ奴等)、シャナキー(語り部の妖精、ラプンツェルじゃないぞ。)、マカ(フクロウの魔女、一応悪役)、マクリル(伝説の巨人、露骨)等...

子供に語るお伽噺、青々しい幻想的な世界に浸りたい方にはおすすめの一作。なお、再生環境があり、英語でも構わない方にはBluray版を特に勧めます。
 

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