私とカートゥーンと鈴と。: スピリット Spirit: Stallion of the Cimarron

スピリット Spirit: Stallion of the Cimarron

スピリット Spirit: Stallion of the Cimarron 
2002 (米) 90/100
米国版ポスター
日本版ポスター


 『千と千尋の神隠し』がアカデミー賞長編アニメーション賞に選ばれた2002年に、ある長編が公開された。それは、動物が主人公でありながら、動物は一切人語を話すことがないという衝撃的なアニメーションだった。今回はそんな作品についての感想。

予告編

ストーリー
 西部開拓時代... 野生馬の群れに生まれたスピリットという純血のマスタングがいた。ある日、生まれて始めてみた人間に茶々を入れたことが災いとなり、白人に捉えられてしまう。彼等は、このシマロンの大地を荒らしている入植者たちであった。その後、騎兵隊に売られた彼は、来る日も来る日も騎兵隊のキャンプで激しい調教を受けることとなった。しかし、彼の"野生馬"としての精神が無くなることはなかった。そして、そこで出会ったラコタ族の青年と手を組み、そこから脱走することに成功するが....

感想
 まず、ポスターについて。日本語版適当すぎない? 感動モノで観客を釣ろうとするのは分かるけど、本編の一部切り取って単色の背景にちょこっとスクリーンショットを載せるのはどうかと.... 

 映画自体は"もう最高"。発想と映像、そして物語が良い。
 予告編や宣伝で強調されている通り、動物達は擬人化されておらず、人間とナレーション以外の台詞は全員鳴き声のみ。ピカチュウが「ピカピカ」で喜怒哀楽を的確に表現するように、主人公の馬も「ヒヒ~ン」だけで感情がしっかりと伝わってくる。目の動きや体の動かし方で会話しているように感じるから、観終わった後に驚愕する。「凄え、喋ってねぇ!」と。動物の生態に至っては、骨格から丁寧に設計した上で描写されているからリアル感も半端ない。

 ただ、馬の目の描写については、知り合いに「馬の目は黒一色で人間のような目の構造ではない。」と指摘された。そのため、もしかしたら私が気づかないだけで馬の再現という部分では他にも曖昧なところがあるかもしれない。




 映像はもうアメリカにおける2Dアニメーションの完成型といえるほど見応えがある。馬が大地を駆け巡り、激流の川で溺れ、敷設するために駆り出される馬を、これほどまでに壮大なものに仕上げたアニメーター達は流石としか言いようがない。そして、その演出の全てが爽快感に溢れている。

 個人的に最も"動物"らしいと思ったのは、ラコタ族の集落を騎兵隊が襲撃するシーン。友情がめばえ芽生え始めたラコタ族の青年を無視して、スピリットが惚れていた彼女(馬)を無我夢中で救出しようと試みるところで"グッ"ときた。「これこそ本来あるべき動物の姿だ!」と。人間と動物の友情をただ描いてるだけじゃないのが良い。

 白人を悪人にすることで、先住民族のラコタを忠実に描写しているのも素晴らしい。なにより、負の部分をしっかりと描くことでラコタ族も納得するので社会的な部分でもプラス。ココらへんがドリームワークスの良いところ。ディズニーはなあ...ポカホンタスは酷い....
 唯一駄目だったのは、日本語版のナレーションと歌。作品の雰囲気を殺すような口調で歌うメロディがどうもしっくり来なかった。歌単体は好きなんだけどなあ....
参考シーン↓ 日本語版

英語版


 また、一つ悲しかったのは商業的に成功しなかったこと。この作品が公開された当時、圧倒的な映像で大衆を魅了し、記録的な成功を掴んでいたピクサー・ドリームワークスのCGアニメの影響(直接的な原因ではない)で、【CG=面白い、手描き=つまらない】という謎の認識がアメリカの業界関係者に広まっていた。そのため、本作品に関わらずアメリカ国内では手描きアニメーションの興行収入は全て壊滅的だった。当時公開されたCGアニメと同等の制作費を注ぎ込んでいるのにも関わらず。(ココらへんの詳細はいつか書きます。)

 本来あるべき動物の姿をアニメで観たい方にはおすすめの一作

余談
 なお、日本では配信されていないものの、海外のNetflixではスピンオフのアニメが配信されています。動物の基本設定は守っているものの、ファミリー向けの独自設定でリメイクした作品なのでノーコメント。


 

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気の記事