私とカートゥーンと鈴と。: 疫病犬と呼ばれて The Plague Dogs

疫病犬と呼ばれて The Plague Dogs

疫病犬と呼ばれて Plague Dogs

(PG) 1980 (英) 85/100



 原作は『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』で有名なリチャード・アダムスの同名小説。イギリス同様に小説は日本でもある程度売れたものの、『ウォーター〜』の興行収入が壊滅的だったらしく、日本では翻訳もされずに一切の映像媒体も未発売のままになりました。なお、日本語訳の小説版も再出版がなくかなりの入手難度。そのため、中古本屋で見かけたら有無を言わさず買うのがおすすめ。

 なお、原作小説は未読の状態での感想なのであしからず。

ストーリー
 舞台はイギリスの農村のどこか、動物実験施設での解剖から物い語は始まる。延々と犬かきで泳がされている『ローフ』。数え切れないほどの脳手術を繰り返した結果、視覚と嗅覚が入れ替わった『スニッター』。彼等二頭の犬は、殺処分場をくぐり抜け実験施設からの脱走に間一髪のところで成功する。
 外界の自由な世界に始めは喜ぶものの、飢えを凌ぐために家畜を殺すところを目撃され、猟師から付けられてしまう。不幸は重なり、その際銃が人間に向けた状態で暴発し、猟師が死んでしまった。挙句の果てに、逃走中の犬は疫病持ちというデマまで広まってしまい、ついには軍隊まで出動してしまうことに.....

予告編



感想
 とにかく救われないお話。動物が主人公ではあるものの、人間達の思惑が展開に色濃く反映されており、『ウォーターシップダウンのうさぎたち』(以下ウサギ)よりも生々しい。 彼等にとって必須事項でもない動物実験をやたらめったに繰り返し、発行部数のために多少の嘘を無視してデマを広めてしまい、無責任なやり取りを行う人間達は、ありきたりの存在だけど恐ろしく思えた。無意味な動物実験に対する批判のメッセージが強く、PETAのような浅はかな動物愛護とは違うので説得力がある。また、実験場で弄くり回される動物達のシーンは生理的にきつかった。細かく描かれているのでなく、とにかく生々しい。狐・犬・鶏・白鳥といった動物の描写は(ウサギ)よりも遥かに精密になり、どのシーンでも作画崩壊を見ることなくリアルな状態なのは素晴らしかった。


 安住の地を目指すという点で(ウサギ)に通ずるものがあるが、それとは違い明るい場面が皆無。主題歌の力は凄い。※本作品にもないことはないけど、エンドロールに流れるだけで本編には使用されない。本作品は静止画でも絵画のように細密で芸術性が高い。パイプ煙草に火をつけるシーンはまるで印象派のよう。そういった絵柄のせいもあってか、銃の暴発シーンはかなりエグいので注意。

↓グロ注意

 終盤、軍隊に追いこまれ海へ逃亡した2匹は、意を決して海へと逃げるもの、その一部始終をみせることなく、雲に包まれながらエンドロールに切り替わる。明らかにバッドエンドなのにその末路を見せない演出は、もやもやするけど納得がいく見事な終わり方だった。
そして、この作品が凄いのはあくまでも"児童文学"だということ。正直、児童本の棚にこれを置くのはキツいと思うけど....ねえ。

 

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