私とカートゥーンと鈴と。: ※ダンス・ウィズ・ウルブズの五年後に公開。『ポカホンタス』 "Pocahontas"

※ダンス・ウィズ・ウルブズの五年後に公開。『ポカホンタス』 "Pocahontas"

ポカホンタス Pocahontas
1995 (米) (PG) [G] 12/100 


※今回は、"先住民"・"インディアン"という表現を記載しないと伝えきれないのでご了承ください。

 1990年、とある映画が公開された。ケビン・コスナーが主演・監督を務めた"真の"西部劇、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』先住民に敬意を払った傑作と賞賛された一方、当事者ではない白人が擁護する目的で差別的あると批判する人々も極少数存在した。
 今回は、先住民が”丁寧に”描かれたディズニーアニメの感想。


原案は実在の人物、ジョン・スミスの語る美談を元に製作した本作。

ストーリー
 舞台は17世紀初頭のアメリカ。主人公ポカホンタスは先住民族パウアタン族の娘。旺盛な好奇心と豊かな知性に恵まれた彼女は、イタズラ好きのアライグマのミーコとハチドリのフリットをお供に豊かな大自然の中を自由に駆け回っています。
 そんな彼女の前に現われたのはイギリス人探検家のジョン・スミス。新大陸征服の野望を抱く彼でしたが、2人は出会った瞬間から互いに思いを寄せ、生まれ育った環境や言葉の壁を超えて理解を深めていきます。しかし富を狙う探検隊と先住民族の対立は激しくなるばかりで、2人は争いをやめさせるために立ち上がるのでした... (DVDの紹介文から引用)
予告編


異種族の壁を超えた愛の物語

 ライオンキングの公開で絶頂期を向かいていたディズニープロダクション。大人の鑑賞にも耐えられる作品から、大人をメインターゲットに添えた作品を製作すると意気込んだのが、本作品と『ノートルダムの鐘』である。時代・民族考証をインディアンの団体に頼むが、殆どの団体から協力を拒否された。それでも諦めずに試行錯誤した結果、ポウハタン族のリサーチに"見事"成功している。

 この映画の最大の魅力は、まだ近代的な建築物が存在しないバージニア州の豊かな大自然の背景美術である。まあ、100m強の崖や柳のオババは存在しないだろうけどね。川を漕き、滝から落ち、トウモロコシを摘み、煙でウサギを演出するといったポウハタン族の日常風景は見ていて惚れ惚れする出来。

 ミュージカルも聴き応え抜群。特に、人種の壁を象徴する歌でインディアンと白人の両方が歌う『サベジズ/Savages』は名曲。お互いに他民族を徹底的にこき下ろした歌詞が何とも言えない。

 "実話"のお話にしてはかなり踏み込んだディズニーの意欲作。間違っても、これが史実だと思う方はいないでしょう、白人を除いてポウハタン族から徹底的にリサーチした? 嘘に決まっているでしょう。仮にそれが事実なら、これほどまでに婉曲された偽りの美談を先住民達が許すわけがないのだから。

↓ここからは、愚痴っぽいので反転表示。
上記の肯定的意見は、美術に関する事以外全部嘘である。

 まず、ディズニーアニメとして鑑賞する際に納得のいかないことがある。それはキャラクターデザイン。人種を描くために角ばらせたのはまだいい。だが、そのためにディズニーアニメ特有のアニメイト"Animate"の魅力が詰まった作画がなくなっているのは納得いかない。また、ディズニーに興味のない一般人にポカホンタスを見せたら、アジア顔の女性と答えそうなほど酷い。ある説にはナオミ・キャンベルをモデルした疑いがあるとか。 また、数年後に人種的違和感のないネイティブアメリカンが多数登場する傑作『ブラザー・ベア』が制作されているので、やはり民族公証が十分になされていないことが分かる。

 次に、ストーリーが嫌いだ。恋物語という点では一応いい話として纏められているため問題ないが、なぜ喧嘩両成敗という締めをしたのかが謎。第一、本格的に暴力で先住民達が反抗したのは1830年のインディアン強制移住法が制定されてからだし。しかも、正当防衛だ。マトアカ、もといポカホンタスの”拷問”ともいえる人生を、エゴ塗れにするのはあり得ない。ここを参照

 この映画じゃ先住民側に非があるような表現となっている。『ダンス・ウィズ・ウルブズ』の後の映画にしちゃ余りにもポウハタン族への敬意が足りない。

 映画では、先住民とピルグリム・ファーザーズの抗争の直接的原因をラトクリフ総督一人の責任としている。実際は全員がラドクリフのような下衆なはずなのに。本編で白人全員が"自分達の方が文明的"だと自負していたなら尚更だ。

 オババの大自然の力によって英語での意思疎通が可能になるのは、ファンタジー要素として悪くはない。だけど、ファンタジーでも境界線が曖昧じゃあどうしようもない。
 ナコマが言語を理解しちゃ駄目だろうがよ!
 
 先住民や映画協会は挙って歌詞の内容を批判したが、歌詞はそれ程問題ない。問題は"誰"が歌ったかである。ピルグリム・ファーザーズ達がインディアンたちを未開人で野蛮だと認識していたのは周知の事実だ。しかし、先住民側が歌うのは無いだろう。餓死寸前の白人達を親切に助け、極力闘いは起こさない先住民達。彼等に"白人"と同様の闘争心が存在したかのように描くのはどうかしてる。
 
"歴史とは全く関係ない二次創作"と考えれば、問題なく鑑賞できるディズニー作品。

余談
 本作品には、続編が存在する。あらゆる団体から批判を受けても、続編を作る根性だけは素晴らしいと思う。また、作品としての質は全体的に前作よりも劣るものの、何故か続編の方が歴史に忠実。そのため、総合的には続編の方がお勧め。

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