私とカートゥーンと鈴と。: インベーダージム Invader Zim

インベーダージム Invader Zim

インベーダージム Invader Zim
(米)2002-2004 85/100 


 ニコロデオン。日本では『スポンジボブ』で有名なTV局。基本的に対象年齢は未就学児から小学校高学年までを対象としている。そこで放映された大半のアニメ・実写ドラマは形容し難い馬鹿らしさが備わっていた。しかし、そんな放送局にも異端児は存在する。

 今回はそんな作品。

オープニング


地球の闇を映し出すSFコメディ

こんな感じ

 原作者はジョーネン・バスケスの同名コミック。彼の絵は、とにかく暗い。幾何学的でシンプルな枠線から産まれた化物のような絵柄。病気や不幸、薬物や死。混沌や闇の世界は不気味だけど魅力的。 ただ、スプラッター描写の度が強くかなり人を選ぶので注意。そんな彼がメインスタッフとして製作したのが、このインベーダー・ジムである。





 見た目はアクの濃い典型的なカートゥーンと思いがちだが、侮ってはいけない。この作品の闇はかなり深い。ダークなカートゥーンというと、カートゥーンネットワークのビリーアンドマンディが存在する。しかし、方向性は全く異なる。ビリーアンドマンディは下品なジョークや、子供が怖がるようなスペイン語圏"死者の日"の様式が特徴的だ。しかし、本作品は希望の薄い精神的にどこかズレた人物達と野心的なロックの世界観がメインとなっている。

 登場人物の大半は辛辣で、子供でも容赦なく暴力的にも精神的にも叩きのめすか、されているのだ。主人公の通う学校"SKOOL"(この誤字から感じる無慈悲さは計り知れない)の担任の現実主義には圧倒される。又、ジムの種族の大ボスである司令官は、都合が悪ければどんな輩でも容赦ない。


 戦争狂で同種族のお荷物として厄介払いされた主人公のジム。同様に厄介払いされたどら声のウザ可愛いロボットのガー。機械オタクで、学校の生徒達からはオカルト好きの変人として認識されているディブ。典型的なゴスっ娘で、ピザ好きゲームオタクのギャズ。劇中のシュールさは、ウケ狙いというより製作陣の世間に対する本音を語っているようにも感じる。




 作画自体は普遍的だが、その環境が凄まじい。オープニングの3DCGから察せられる膨大な予算がそれを物語っている。

 こんな夢も希望もないダークな世界のドタバタを視聴していると、子供達に元気と希望を与えるニコロデオンのオレンジカラーのことをつい忘れてしまう。ニコロデオンはかつて『レンとスティンピー』において表現の規制に関して製作陣と対立したそうだが、よくもまあ、こんな企画が通用したものだ。彼の経歴を考えたら、GOサインなんて普通は出ない。

 正直、打ち切られるのも無理はない。つまらない訳じゃない。でも、このノリと作風の癖は余りにも強すぎる。しかも、制作費が馬鹿にならない。一話につき130万ドル(当時のレートで1億7千万円)は高すぎる。ある程度の人気を得ても、当時のニコロデオンにとっては足かせにしかならなかったのだろう。

 2018年2月現在、HuluやDtvで放映中。又、TV用の新作長編も製作中。


 

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