私とカートゥーンと鈴と。: リトルフット ~謎の恐竜大陸~ the Land before Time

リトルフット ~謎の恐竜大陸~ the Land before Time

リトルフットの大冒険 ~謎の恐竜大陸~
The Land Before Time
1988 (米) 59/100 力強い主題歌の衝撃に打ち勝てない本編。
 1980年代の米国の劇場用アニメでは二大勢力が対立していた。その時期に50周年を迎えたディズニープロダクションと、ディズニーの経営方針に反発した元従業員たちが設立したドン・ブルースプロダクションだ。そんな時、ある有能な映画関係者がアニメに手を出そうとしていた。それは、あのスティーブン・スピルバーグだった。彼は観客が求める映画、そしてヒットする映画の法則や仕掛けを十分に熟知した天才だった。

 今回は、そんな彼とスター・ウォーズを手掛けたジョージ・ルーカスが製作総指揮を務めた映画。なお、原題の"The Land Before Time""太古の大陸"という意味。

本編一部
 
ストーリー
 遥か遠い昔、恐竜が地球に居座っていた時代。大地は枯れ果ていくなか、草食恐竜のプロントザウルスのリトルフットの親子は、緑の繁る「みどりの谷」を目指す。しかし、道中で肉食恐竜の襲撃に遭い、母親は死に絶え、仲間の恐竜と離れ離れになってしまう。そして残ったリトルフットと3体の仲間とともに「みどりの谷」へ向かうのだが....

 監督は『アナスタシア』や『ドラゴンズレア』のドン・ブルース。 

 舞台となる太古の地球は、人間に置き換えたような安直さはない。緑の大地へと向かうという筋書きから察せるように、雰囲気も陽気で楽しげというよりかは少々終末感が強い。主人公たちはぬいぐるみのような丸みを帯びた可愛げのあるデザインで、海外の作品を見慣れない方でも抵抗なく入り込める。

 異種同士での交流を禁止されている恐竜たちが、種を超えて協力しあうという。定番ながらも力強いストーリー。母親の死、恐竜同士の差別意識、食糧難等の生死にかかわる問題に臆することもなく、リトルフットとその仲間たちは問題を克服していく。翼竜のくせに飛べないプテラノドン、コミュ障のトリケラトプス、ビビリのアナトザウルス、そして無知なステゴサウルス。彼等の性格や特徴が設定で終わることなく、丁寧にフラグ回収を済ませる辺りは中々のもの。 

 そして、主題歌のIf We Hold On Togetherが良い。リトルフットの冒険に助太刀したかのような、心の支えになる歌声が耳に染み渡る。作曲者はジェームズ・ホーナー。あのタイタニックのMy Heart Will go onを担当したヒットメーカーだ。


 だけど、壮大っぽく見せて中身が薄っぺらいのはどうにかならなかったのか。演出は一流で文句の付けようがないのに、その見せるものが普通なのが残念。物語が幼稚園児に見せても解りやすくするための配慮だろうけど、何か物足りない。また、主題歌の影響が強すぎて本編の内容のほうがあまり記憶に残らなかった。



余談

 アメリカではこの年に、2つのアニメ映画が全米で公開されていた。これと、『オリバー ニューヨーク子猫物語』である。人間味あふれた恐竜達のお話と、ポップミュージックいっぱいのディズニー版オリバー・ツイストにはの2つを見比べると面白い事がわかる。

 ドン・ブルースはディズニー的なありきたりな作品に抵抗したことをきっかけに退社した方だ。そんな彼が製作した本作には、『ファンタジア』の春の祭典を彷彿とさせる恐竜たちが登場する。また、彼の作風の影響でディズニーらしさが抜け切れていない。しかし、『オリバー~』の方は、舞台が現代でブロードウェイ・ミュージカルの様式をふんだんに取り入れており、ドン・ブルース在籍時にあった古臭さを感じないのだ。

 結果的に、経営改革で時代遅れの殻を打ち破った本家の方よりも、ディズニーとは違うことをやろう と意気込んだ製作者の方がディズニーっぽい作品になっているのは滑稽だ。また、監督の作品はディズニー的様式美を嫌って違った作風に挑んでいても、結局盆栽やフィギュアの亜種のような微々たる違いしか生み出せていないのも惜しい。ドン・ブルースはつくづく不遇なクリエイターだと思う。

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