私とカートゥーンと鈴と。: 怪物の狂宴 Mad Monster Party?

怪物の狂宴 Mad Monster Party?

怪物の狂宴 Mad Monster Party?

1967 (米) 
総監督 ジュール・バス
撮影監督 持永 只仁
企画・原作 アーサー・ランキンJr.
脚本 レン・コロブキン、ハーヴェイ・カーツマン
主演 ボリス・カーロフ、フィリス・ディラー、エセル・エニス、ゲイル・ガーネット
音楽 モーリー・ロウズ、ジュール・バス
制作会社 ランキン・バス・プロダクション

 アーサー・ランキン・JRとジュース・バスの二人が1960年に創設したランキンバスプロダクション。開設初期には今回紹介する映画の撮影監督の持永只仁氏率いるMOMプロダクションとの合作で、70年代には東映やスタジオジブリの前身となるトップクラフトとの合作で、日本人が縁の下の力持ちとなってテレビ番組を多数製作してきた。それらはアメリカ国内では今もなお圧倒的支持を受けており、その大半は日本未放送か未発売がほとんど。

 『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』(1964)や『サンタが街にやってくる』(1982)等の華やかなクリスマスアニメとは打って変わってこちらはホラーコメディ。ティム・バートン監督を始め、怪物映画やかっこいいものに憧れやすい男子達を刺激させ、後の怪物映画に多大な影響を与えた歴史的作品である。
 

あらすじ

  •  ボリス・フォン・フランケンシュタイン男爵は試行錯誤の末、世界を破壊する秘薬を発明する。世界"怪物"協会会長の男爵は、これを期に引退宣言をするつもりで、モンスターたちの会合を開催する。その会合では甥に会長の座を譲る計画であったが、彼の内気な性格が災いし、怪物達は騒動に巻き込まれる....
予告編


 日陰者としてひっそりと暮らす化物達が一堂に会するという作家泣かせの仕様だが、誰一人として忘れてしまうような造形の怪物はいない。それに加えて、当時の人気映画から拝借した俳優や小ネタの相乗効果も相まって、非常に愛おしいアニメーションとなっている。

 登場する怪物は複雑なポリゴンも、場違いな実写の合成もなく、全員が人形というのも素晴らしい。狼男、吸血鬼、ミイラ男、透明人間、半魚人、せむし男、ジギル博士とハイド氏、フランケンシュタイン博士の怪物、骸骨..という登場人物は当に豪華絢爛。スタッフロールでボリス・カーロフ氏が怪物として数えられていたのには苦笑いでしたが...

 また制作陣も怪物と同様に豪華。SF界隈での大御所フォレスト・E・アッカーマン、風刺雑誌MADの編集者であり、そのマスコットを製作したハーヴェイ・カーツマン、フランケンシュタイン博士役には人造人間の"フランケンシュタイン"を演じたボリス・カーロフ、そして"Tad" Mochinaga" もとい持永只仁。青々と光る秘薬の研究を完遂させる冒頭場面の静けさも、魑魅魍魎のどんちゃん騒ぎもいともたやすく軽やかなテンポで演出してくれる。

 怪物たちも人間とは程遠い姿ではあるが人間以上に可愛らしい。ミュージカルを一定の間隔で挿入されるものの、単純な尺稼ぎや当たり障りの無い状況説明には感じないのも良い。屋敷や客船での騒ぎは心地よい雑音なのだ。加えて、みんなどこか惚ける手前のような状態で、いつヘマを引き起こすのかを心待ちにさせてくれるのだ。

 物量や特殊効果の採用が積極的になった現代から見ると、白黒映画時代からスクリーンで暴れまわった怪物たちと同様に、古臭いかもしれない。目視不可な糸で浮遊させることはなく、人形達は地面に固定されたまま。しかし、細部に渡る映画のパロディや骸骨の楽隊の演奏とその場面でのミイラの踊りを観れば、そんな不満も吹き飛ぶだろう。

 コマ撮りやクレイアニメ等に興味がある方、お盆やハロウィンのお供にお勧めの一作。

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