私とカートゥーンと鈴と。: On Happiness Road 幸福路上

On Happiness Road 幸福路上

On Happiness Road  幸福路上
2017 (台湾) 65/100 
『ペルセポリス』のように舞台となる国の歴史を紐解いていく内容と、『おもひでぽろぽろ』のように今の自分と過去の自分が登場する作品。ただし、過去の自分が成長して最終的に繋がる描写なので、多少異なる。




 2013年に公開された同名の短編作品。これをベースに話を膨らませたのが本作品。

あらすじ
「大きくなったら、米国に行きたい!」小琪(チー)は台北の幸福路(HapinessRoad)に引っ越してきた女の子。いつの日か実現できる輝かしい未来の姿を目標に学業に励んでいた。そこから二十数年後、アメリカで暮らす現在の小琪は理想とは程遠い生活に不満が募り始めていた。そんな矢先に祖母の訃報を知った彼女は、昔ながらの幸福路に帰郷する。そして、心身とも疲弊した彼女は小琪は、かつての理想像に成れたのか回想を始めるが....


ここ半世紀の台湾事情の知識があればより楽しめる。

 がばいばあちゃんやペルセポリスのお婆ちゃんを連想させる聖人的存在のお婆ちゃん。台湾語特有の訛りが抜けることのない父さんや必死に家計を切り盛りする母さん。そして、主人公の一人娘。人生のピースを紐解いていきながら、自分にとっての幸せを模索する姿。それを見ると、国は違えど精神的な悩みというのはどこも変わらないのだと感じる。

 金髪のハーフの外国人と友だちになって幸せになったかと思えば、言論弾圧の影響で盲目になった親戚が登場するといった具合に、幸福と不幸の二重構想で物語は進んでいく。それにより、物語に"幸せとは何か"という疑問に対する回答の説得力が増しているのが良い。

 また、本作は彼女の人生を描くと同時に、台湾人が歩んだ歴史を初見にも解るように描いており、1980年から始まる台湾史は興味深い内容となっている。国民党独裁の続く台湾国民政府は民主化運動を粛清することに必死で、1984年にはサンフランシスコで中華マフィアによる江南事件が発生した頃。主人公の親戚の暴行は、多分この事件を揶揄したものだと思われる。90年代後半になると民主化運動が盛んになり、彼女自信も抗議活動に見を投じている。こういった歴史的事実も本編に影響するように、丁寧に絡めているのもプラス。




 幼少期の回想で頻繁に登場するアニメーションは『夜明け告げるルーの歌』や『デビルマンCrybaby』の湯浅監督のような、原型が崩れながら滑らかに動いており、単体なら見ていて気持ちいい。アニメ本来の"動きを楽しむ"映像は鮮やかで"単体なら"誰にでも薦められる。しかし、極端過ぎる場面転換がちらつくことが多く、映画本編という括りで観ると少し邪魔だった。現実から妄想に徐々に移り変わるような映像ならいいのだが、いきなり音量ともに激しく変化するのは正直心臓に悪い。

 日本のアニメが意外に広まっていたことに驚く。往年の少女漫画らしい金髪王子とか弱い女性の妄想や、仲のいい友人とのヒーローごっこがもろ科学忍者隊ガッチャマンだったりと、台湾のアニメ事情が垣間見れて興味深かった。

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