私とカートゥーンと鈴と。: プライムビデオの中小企業/個人作品について

プライムビデオの中小企業/個人作品について


プライムビデオの中小企業/個人作品について

 アマゾン/プライムビデオ(以下PV)。動画配信としては衝撃的な激安価格なこともあって、Hulu, netflixと並ぶ見放題サービスとして着々と会員数を増やしているという。しかし、低価格だからといって、無造作に水増しする理由にはならない。

 HuluやNetflix等の月額見放題とは違い、PVは一部の作品は有料販売となっている。それ自体は全く問題ないが、問題はインディーズもとい同人系の作品が散乱していること。アマゾンの審査規定は意外と緩いらしく、法人でも個人でも早ければ1日程度で公開できるとのこと。<1> 「作品が散乱していても、検索の邪魔にならなければ問題ない。」と言う方もいるだろうが、アマゾンが数の豊富さを謳う際にタダでも見ないような物を含んでいたらどうだろうか。  

 大手スタジオのコンテンツで無くても魅力のある作品は確かに存在するのだが、手抜きの作品が多い。再生時間が長くても支離滅裂なのは日常茶飯事。特に、実写よりも数段手間のかかるアニメーションとなると、手抜き度は段違いだ。

 ということで今回は、プライムビデオで出来が悪いアニメの典型例ともいえる作品と、隠れた秀作・良作を紹介していく。

 出来が悪い作品の選定に関しては、以下の条件に該当する作品は除外する。

パブリックドメインの作品。(そもそもつまらないのがない)
例)ベティブープ、ポパイ、ガリバー旅行記、等
娯楽でなく資料としての側面が大きいもの。一目見て教育ビデオだと判断できるもの 
例)非常警報の音、災害マニュアル、ABC、数字等
アマゾン以外のサイト、DVD等の家庭用メディアへの販売経験があるもの 
例)カーズ・ドリーム、Teenwolf、等
ウザいオレンジ(Annoying Orange)シリーズ全般 
粗悪乱造のお手本。100作品近く存在するため除外。30秒見たらもうお腹いっぱいです...

駄作の例
Magnificent Kaboom
 その昔、"12oz,mouse"『12オンスのネズミ』という作品があった。それは、自堕落に暮らすビール好きのネズミが風変わりな仕事を請け負った結果、災難に巻き込まれるという内容だった。手抜きに見える映像でとことん馬鹿馬鹿しい印象を持たせつつ、継続性のあるドラマを兼ね備えたことで、本作は一部の大人を虜にしたのだった。

 また、『ホーム・ムービーズ』という作品では、映画撮影が趣味の小学生ブランドンのシュールな日常を描いていた。子供でも容赦なく現実を突きつけてくる大人たちに振り回される主人公の姿や、全編に漂うダウナーな雰囲気が思わずクスッとする作品だった。

 これ等に対し、本作は手抜きによる恩恵が全く無いのだ。会話に脈絡がなく、突然声や舞台が変わることが多く、終始謎だった。また、機械翻訳丸出しの日本語字幕が付け加えられたことで、本作の方向性がより不確かなものになる。完成された物体を書き足すことなく人物が動くため、アニメーションはかなり気味が悪い。映画を見終わる頃には、作者には間違いなくエド・ウッド並の精神力が備わっているのだと実感するだろう。


Bubble Bubble Meows and the Meteor Stomachache


 ビジュアル的嫌悪感は前者ほどはないものの、アニメーションとしてはこちらの方が更に酷くなっている。紹介ページのポスター画像を見ると、受賞歴らしきものに一瞬惑わされるから厄介だ。(実際そうだった) 

 そして、再生すれば1分と経たずに映像の味気無さに唖然とするだろう。前者は奇妙なビジュアルが故に、何かしらのシュールさを期待してしまうが、こちらはそれすらない。絵単体の質としてはこちらの方が低いのにも関わらず。た、こちらには何故か日本語字幕でなく日本語音声が挿入されている。勿論、内容の理解を手助けするものには全くなり得ていないのだが、なぜか、台詞(ナレーション)の自体は明らかに人間の手で翻訳されている。

 衝撃的だったのは、IMDBに登録された正式な劇場公開作品だということ。しかも、米国とオーストラリアの二カ国で。正直、予告編見たら金払おうとは全然思わないぞ...

 これ等以外にも、ぎこちない動作や脱力感溢れる棒読み演技、どこかズレてる演出が目立つ作品は数多く配信されているので注意。

 良作・秀作の例
The Imp(配信終了)
モノクロの色彩と3Dモデリングによって奥行きのある豪邸を舞台にした短編アニメ。真の"悪魔"を目指すために日々精進する小悪魔のインプと、その召使で真面目なボブ。豪華な邸宅とその周囲で起こる日常に映るインプの可愛さと、その仲間たちの少し皮肉めいた台詞が魅力的。

 かつては、ケーブルテレビ局で番組と番組の間を埋める作品として不定期で再放送されていたものの、今じゃ見る影もない。放送局への売り込みに過剰にならなくても、こうしたネット配信で気軽に商売でき、気軽に作品を見れるようになったのは情報化社会の恩恵の一つだと思う。 再配信はまだ...?

Midnight tourist
少年とスペースニードルとの不思議な旅を描いた5分間の短編。スペースニードルとは1962年に建造されたアメリカ合衆国,シアトルに存在する放送塔である。電波塔はリトルニモに登場するベッドを連想させる。会話を排除したコミュニケーションを軸にした交流を印象づけているのが良い。

映画祭で話題になったり、高評価を受けた作品はPVだけでなく、Vimeoなどの動画サイトで販売されていることがあるので有り難い。







Ostrov/Island/にぎやかな無人島


 1973年にソビエト連邦で公開された短編アニメ。監督はロシア版プーさんを製作したフョードル・ヒートルーク氏。欧米の新聞漫画でよく見られる作風が特徴的。今にも沈みそうな小さな小さな島で通過する船に助けを求める男。即物的な関わりと搾取を続ける世間の人々。主人公の本当の望みの行く末を描いた現代風刺アニメーション。ラストの展開は必見。

 




 アニメーター個人で公開された作品や、大手が携わらない過去の名作、中小規模のアニメスタジオの作品が手軽に観賞できるアマゾンプライムビデオ。玉石混交の状況をすぐ改善しろとは言わないけれど、せめて作品の選別方法を変えて欲しい。僅かに光る宝石が廃棄物に押し潰されているのだから。

番外編 The box
 短編アニメにしては、妙に評価の数が多いと思ったら、商品リンクが間違っていた作品。金欠に陥りストレスの溜まった中年男性が、地下室でちょっとした休暇を取ろうと模索するという内容。商品リンクは取り敢えず、とっとと直して。

 月額400円という破格の値段とはいえ、契約時には本当に観たい作品があるか確認してから加入しましょう。

〈1〉http://www.kagua.biz/seisaku/movie/avd-shuppin.html

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