私とカートゥーンと鈴と。: ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション

ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション

ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション
Looney Tunes:Back in Action 2003 (米) (PG) 70/100

 90年代に設立されたワーナー長編アニメーション。魔法の剣/キャメロット』、『アイアン・ジャイアント』、『バクテリアウォーズ』と立て続けに大爆死を重ねてきたことで、アニメーション事業から撤退せざるをえなくなった。しかし、そんな不遇な状況でも、重役やクリエイター達には、"せめて、最後は有終の美を飾りたい。" という思惑があったに違いない。そうでなけば、"本来ならば安牌"であるはずの本作を2003年に公開するわけがないからだ。

予告編


あらすじ
 バックス・バニーの引き立て役にうんざりしていたダフィー・ダックはより良い配役を要求するものの、逆にワーナー・ブラザーズからのクビを宣告されてしまう。スタントマン志望の警備員D.Jも、解雇通知のショックで暴走したダフィーの影響でクビにされてしまう。しつこく付き纏うダフィーを他所に落胆するD.Jに、突然名俳優で父のダミアンからメッセージが。彼の正体は俳優でなく本物のスパイで、現在は世界征服を目論む悪名高きACME/アクメ社に囚われているという。D.Jは口煩いダフィーと共に父の救出へと向かうのだが....

正真正銘のスター達


 ルーニー・テューンズ(以下LT)は1930年代から60年代終盤にかけて人気を博したアニメシリーズ。可愛らしいキャラクターやファンタジーの中のリアリズムを全面に押し出すディズニーに対し、LTは徹底的に笑いを追求していた。現実世界のルールを無視した視覚トリックに、第四の壁を越えたメタギャグ、銃火器をもろともしない体を張ったスター達。彼らは、まさに大人向けの一流コメディアンだった。

 しかし、本作の前に公開された実写映画での彼らの姿は、あまり理想的ではものなかった。

 
 1988年に公開された映画『ロジャー・ラビット』。会社の垣根を越えた往年のスター達の共演が印象的な本作では、3つのシーンに登場する。しかし、ディズニー側のキャラクターを中心に登場したこと全体的に暗い探偵モノ40年代の殺気・狂気が滲み出ていただけだったことから、キャラクターの性格を反映させたというより、舞台となる"トゥーンタウン"の毒気に染まった印象が強かった。



 また、1996年にマイケル・ジョーダンと手を取り合いバスケに挑む『スペース・ジャム』では、(吹替版はともかく)劇中のジョークの全てが退屈で、子供向けに落魄れていた。画面ドアップで顔を近づけて、ひたすら大騒ぎするだけで、面白みがない。また、マイケル・ジョーダンに代表されるバスケ選手の棒読み演技とぎこちない動作で、マイナス要素がより一層際立つのも頂けない。(デザインは一番可愛らしいんだけどねえ..)


 そんなこともあり、本作では"一流コメディアン"だった頃の面影がしっかりと残っている。LTは基本的に8分程度の短編で、ギャグの応酬をメインにしている。短編という枠組みだからこそ許容されていた構成を、そのまま劇場用に当てはめたもんだから、正直言って筋書き自体は支離滅裂に等しい。だけど、間違いなく"ルーニー・テューンズ"として成立している。

 本作にはワーナー・ブラザーズもといタイム・ワーナーの版権キャラ絡みの小ネタが多数登場する。バックス・バニーやダフィー・ダックに限らず、魅惑の蛙や牧羊犬のサム、一部のハンナ・バーベラキャラに至るまで幅広い。そして、悪ふざけするのが大得意の名監督/ジョー・ダンテ氏によってメタや自虐にパロディがぎっしりと詰まっている。映画好きでなければわかるはずもない中身の濃いギャグの嵐に、親子連れは敬遠するかもしれないが、LTかB級映画好きなら見て損はない。


 ただ、物語に絡ませようとする場面は笑えないのが残念。ダフィー・ダックが途中でダック・ドジャースの衣装に身を包み、英雄として悩む場面やヨセミテ・サムのカジノから始まるカーチェイスはもっと膨らませてもよかったのでは?

 それでも、映画の締めに"That's All Folks!"「これでおしまい!」と言われると、いつものルーニーテューンズを見終わったのだと満足するのだ。

 本作の監督が手掛けた『グレムリン』シリーズのように頭を空にして見れるパロディ映画をお探しの方にはお勧めの一作。
 

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