私とカートゥーンと鈴と。: ボックストロール Boxtrolls

ボックストロール Boxtrolls

ボックストロール Boxtrolls (米) 2014 
75/100 暗い展開は多いけど、意外と気軽に観れるコマ撮りアニメ

 東京都写真美術館で観賞。本作はコララインから始まるライカ作品の3作目で、本来であれば2014年前後に公開されるべきだった映画だった。しかし、2作目のパラノーマンの日本での興行成績が壊滅的だったことが災いし(たかどうかは憶測だけどほぼ確実)、長らく日本で日の目を見ない状態だった。

 しかし、配給元のGAGAの有り難い心意気によって短期間の劇場公開と吹替つきのDVDリリースが決定した。

予告編


ストーリー
 チーズブリッジの町では、夜な夜な現れては子供を襲って食べるという恐ろしいモンスター“ボックストロール”の噂が信じられていた。町の権力者であるリンド卿は、悪徳害虫駆除業者のスナッチャーに駆除を依頼し、トロールたちは次々と捕えられていく。そんな人々に忌み嫌われるトロールたちと地下で楽しく暮らしていた人間の男の子エッグス。噂とは異なり、寝静まった夜の町でガラクタを集めては発明に勤しむ心優しいトロールたちであったが、エッグスの親代わりのフィッシュまでも捕獲されてしまい、救出のために地上に出たエッグスは初めて人間の社会を知ることに。大切な家族を取り戻すため、エッグスはリンド卿の娘の勝気な少女ウィニーと共にスナッチャー率いる駆除軍団に立ち向かっていく―。
GAGA DVD紹介説明文より


 コマ撮りの滑らかさは、もはやライカの十八番。『クボ』『コララインとボタンの魔女』『パラノーマン』と同じように精巧で緻密、そして躍動的な動きが全編に渡って展開されていた。コマ撮りのぎこちなさがどこにもなかったのは驚異的だ。ダークファンタジーを得意とする、というかそれ以外製作したことがないライカ作品の造形は、まず一般受けしづらいものだろう。しかし、一度ハマれば、二度と抜け出せなくなるような中毒性も持ち合わせている。

 柔らかそうに動く登場人物やチーズに代表される食べ物等、画面に映るもの全てがグロテスクに見えるのが特徴的。但し、一点だけ違和感のあるシーンがあった。 それは、悪役の赤帽子が上流階級の素振りで振る舞うためにチーズを食するシーン。そこでは、アレルギー体質が原因で彼の図体が腫れ上がるのだが、そこの動きがどうも滑らか過ぎるのだ。 勿論、普段のシーンも十分過ぎるほど滑らかなのだが、その部分だけ意図的にコンピューター制御を行っているような不自然さがあった。
 

 本作のメインキャラクターことボックストロール。大抵の海外のアニメは静止画だと気持ち悪いのに、見ていく内に愛着が湧いてくるから不思議だ。特にフィッシュと呼ばれるトロールの一人が少年・エッグズを必死に育てているシーンは微笑ましい。また、彼らは所謂エルフのように機械に精通しており、彼らの技術力が織り成す様々なカラクリは思わずワクワクする。 ただ、ボックストロール達が公に皮膚をさらけ出すシーンは、『ハリー・ポッターと賢者の石』に登場する女子トイレに侵入するトロールを連想してしまい、気持ち悪かった。"トロール"であることをこれでもかと強調させているように感じる分、今迄蓄積されてきた愛着が悉く壊されたように感じる。




 ヒロインの少女/ウィニー。彼女が本作の一番の見所だと断言できる。"健気な女の子"のイメージを逸脱することなく最後まで、エッグズやトロールと連携し、敵に立ち向かう姿は素晴らしい。というか、このキャラがいないと本作品は成立しないも同然。逆に、本作の上流階級達には呆れる。本筋に深く介入するのにもかかわらず、小物感が全開でもやもやする。また、チーズ狂いの町長がこれとった教訓を受けていないのに、いつの間にかに彼の一人娘と意気投合しているのはなぜだろう?

 発明家が息子の命を護るために、ボックストロールに彼の身柄を預けるところから始まる筋書きは、何か壮大なものを期待してしまうが、展開自体は意外とこじんまりとしていた。 玩具箱から飛び出してきそうな駆除業者の魔改造カーや、二足歩行型の巨大ロボなど"コマ撮り技術を見せつけるガジェットの数々を映画館の大画面で見るとその思いをより強くする。

 本作品は決して退屈ではない。ただ、ライカの作品は大風呂敷を広げたのにも関わらず、物語上で最終的に展開が尻すぼみする傾向があるように感じる。(コララインとボタンの魔女は例外)典型的な勧善懲悪でない分でましだが、悪党の行動からその制裁の落差が極端。ボックストロールを捕獲し、周囲の信頼を集めて上流階級の仲間入りを果たしたいという思いは納得がいくし、メッセージ性も強い。 ただ、最終的に暴走した彼が自身の体調管理を怠った結果、破滅していくというはどうにもスッキリしない。(悪党の制裁自体は滑稽でしたが)

 

 また、エンドロールのメタギャグは最高だった。コマ撮りが如何に長く根気のいる作業であるかを延々とキャラに会話させてるのは非常に滑稽だった。そういった第四の壁を壊すものは古今東西どこにでも存在するのだが、力量が作品の出来を大きく左右させる"コマ撮り"で見られるとは思っていなかったからだ。

 キャラデザの不気味さと滑らかな動きを創造することは重労働なのだと、より強く認識させる一作。
 

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