私とカートゥーンと鈴と。: ロックン・ルール Rock and Rule

ロックン・ルール Rock and Rule

ロックン・ルール Rock& Rule 1983 (加) (PG-13)
音楽が全て。そう..."音楽が全て"の映画。 30/100


 有名なミュージシャンや楽曲を用いて製作する作品は古今東西に存在する。古くは、"音の魔術師"と謳われたレオポルド・ストコフスキーが指揮者を担当したディズニーの『ファンタジア』。松田聖子がペンギンを演じたニューシネマ風映画『ペンギンズ・メモリー 幸福物語』。演技力を無視したキャスティングが目立つワーナーの『魔法の剣・キャメロット』など様々。

 今回は、そんなミュージシャンが多数登場する映画。

予告編


あらすじ
 人類は死に絶え、犬や猫やネズミが文明を築いている未来世界。伝説のロックスター・ミックもといモックは、人気の低下に悩んでいた。アルバムの売れ行きも下がり気味である。そこでミックもといモックは、起死回生の策として、異次元の悪魔を甦らせようとする。悪魔の力を使って、再びスーパースターとして君臨するのだ。
 しかし、悪魔を甦らせるには、ある旋律をある"声"で歌う必要がある。その"声"の持ち主を探すミックもといモックが見つけたのは、無名のインディーズバンドのボーカル猫・エンジェルだった…。

 7,80年代を駆け抜けたロックスター達の夢の共演
配給受けが極端に悪く、結果的に極少数の映画館でのみ公開された1983年のロック・ミュージカル・アニメ。

 出演は「チープ・トリック」のロイ・サンダー、「ブロンディ」のデボラ・ハリールー・リード、イギー・ポップ、そして、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのメンバーら豪華ミュージシャンたちが声優や歌で参加している。顔触れを考えると、これはもう奇跡に近い。

 退廃的な世界はもはやロックンロールにはお約束。ヘヴィメタルでもメタロカリプスでも、何かとアニメで再現すると荒廃した世界が舞台になる。本作も例外ではない。ただ残念なのは、"ミュージシャン"を登場させた以上の衝撃がこの映画そのものにはないということ。



 善と悪を象徴する二組のバンドの歌合戦。あらゆる場面にこれでもかとBGMを垂れ流して、ロックを多用しストーリーを盛り上げようとしているのはわかる。ただ、最高にイカした曲に対してそれ以外の要素が余りに陳腐なのが、残念でならない。また、SF要素を盛り込んだことで未来感が妙に薄れていく気がした。場面によっては、ドン・ブルース氏のSFアニメ『タイタンA.E』と勘違いするところも。

 また、PG-13指定の影響からか、登場人物が擬人化されたネズミなのも残念。擬人化自体は別に嫌いではない。しかし本作のネズミは、人間とほぼ見分けが付かない状態のうえに、ネズミでなくても成立する物語であるため、ネズミである必要性がないのだ。

 ただ、出演したミュージシャンの魅力は全く色褪せていないので、ロック好きなら間違いなく一見の価値はある。デビッドボウイ主演の『ラビリンス』を連想させる奇天烈な作風に、ハンナ・バーベラともディズニーとも、R指定アニメらしい新聞漫画調の絵にも似つかないネルバナ社のデザインは他じゃ中々観れるものじゃない。

余談

 DVDや日本での配給元が紹介文では何かと"幻のカルトアニメ"と宣伝しているので調べてみた所、本作は色々と不遇だったみたいで....

 元々、『ロックンルール』は同社のTV映画"The Devil and Daniel Mouse"を劇場版として売り込むという企画からスタートしたものだった。そして、同社としては初の長編ということもあり、8,000,000$(19億円)の制作費をつぎ込み大々的なプロモーションを試みた。


 ところが、配給元ユナイテッド・アーティスツも出展した映画祭の関係者も劇場公開に名乗り出ることが無かった。その結果、興行収入が30,000$という史上類を見ない大爆死で、ネルバナ社を倒産寸前にまで追い込んだのだった。その後ネルバナは、2年後のケアベアの劇場版による圧倒的な成功とケアベアのTVアニメによって危機は回避したという。

長くつ下のピッピ・ぞうのババール・タンタンの冒険・ダニーファントム等のヒット作を有するネルバナ社の黒歴史ともいえる一作。

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