私とカートゥーンと鈴と。: The Story of Menstruation ~ディズニー製作の教育アニメ~

The Story of Menstruation ~ディズニー製作の教育アニメ~

The Story of Menstruation 1946 (米)
~ディズニーが送る月経のお話~

 第2次大戦による不況やアニメーターの酷使による大規模なストライキの影響で、経営難に陥っていたディズニー。40~50年代前半には職員を養うために行政機関からのあらゆる依頼を引き受けていた。そんな作品の中には公に晒すことは無くとも、経歴のひとつとして一般公開する作品もあれば、半永久的に紹介・販売されない作品もある。

 今回はそんな後者に属する作品。



ディズニーが教える月経のいろは

 第二次大戦中のディズニーは倒産を回避するために、ドナルドやミッキーの短編映画や長編の製作の傍らで、政府や企業と連携してCMやプロパガンダを多数製作してきた。ドナルドダックが登場するThe Spirit of '43や枢軸国のリーダー達が登場する『総統の顔』"Das Fuehrer's Face"など様々。

 本作の保健教材ビデオも、生理用品で有名なコーテックスの要請で製作したものである。婦人科医のメゾン・ホーン氏に監修のもと、教材としての価値を高めるべく、科学的説明を軸にし、校内医や保健師等の教える側も納得できる描写を出来る限り多く挿入した。 ネットもTVもない時代。当時の女性のそういった知識は極僅かだったことから、60年代までは正式な学習教材として9300万人の学生が視聴したという。



 本作では、"それ"のことに関わるものをアニメーションを用いて、未就学児(≠幼稚園生)でも理解できるような配慮がなされている。子供だからといって、赤ん坊はコウノトリが運ぶもの。男女のキスでお腹が膨らむなんて誤魔化すことはなく、包み隠さず専門用語を用いて説明している。現在の映画界で軽蔑や罵倒の際に頻繁に使われるような言葉も、本作では"ありのまま"の意味だから、粋がった子供が周囲に言いふらす心配もないのが良い。"女性"という性別を示す単語が本編中に聞こえなかったのは意外だった。但し、いくら月経の話とはいえ出産の過程まで描いているのに、性行為に関する言及が一切ないのはどうかと。
 

 物語は、反抗期・思春期の子供達に月経がどういうものであるか、その影響、そして女性たちはどう付き合うべきかを、赤ん坊から母親になるまでの過程と絡めて解説している。主人公はどことなく、ピーターパンに登場する人魚に似ている。主人公の過程の中で、同じ服を着ないようにしているのが良い。一般的でお洒落な女性を印象づけるための配慮だろうか。ただ、主人公のいかにもな女性らしさは少々鼻につく。まあ、当時の常識に現在のポリコレ的批判をするのは馬鹿らしけどね。


 アニメーションは決して悪い出来ではなく安定しているが、シャワーシーンの湯煙が実写であったり、散歩中に映る太陽の顔つきが静止画で強面なことから、予算削減が相当なものだったのだと伺える。(解説に半分以上費やしている時点でかなりの低予算だが)

 なお、本作は2015にアメリカ議会図書館に永久保存された。

現代でも討論の続く性教育の現場の黎明期を彩る、いわくつきの一作

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