私とカートゥーンと鈴と。: キリクと魔女 Kirikou et la Sorcière

キリクと魔女 Kirikou et la Sorcière

キリクと魔女 Kirikou et la Sorcière 1998 (仏)
98/100点 悪い魔女との知恵比べ
 フランス映画。それは、もやもやする映像の集まり。全てが該当するわけではないが、大抵はよくわからない作品だらけだ。洒落た台詞を交わし、物語に相応しい雰囲気が醸し出されたかと思えば、いつの間にかに終わる。そんな映画が殆どだった。勿論、アニメーションだって例外じゃない。一歩間違えれば、シュールさだけが異常値を出す形容し難い"何か"になることが多かった。

 しかし、本作ではそんな負のイメージを全て払拭する素晴らしい映画だった。

あらすじ キリクが生まれたアフリカの村は、魔女カラバの恐ろしい呪いにかけられていた。泉の水は涸れ、魔女を倒しに出掛けた男たちはすべて魔女に食われ、村に残っているのは、女子供と老人だけ。「どうして魔女カラバは意地悪なの?」。持ち前の好奇心と行動力で、小さなキリクは賢者が住むという“禁じられたお山”へ旅に出る・・・。(DVDの紹介文から引用)




予告編(フランス語)


舞台となるのは北アフリカの農村。欧米人が連想するような極端な黒塗りも馬鹿でかいたらこ唇を持つ黒人は存在せず、登場する人間は皆清楚なのだ。また、魔法使いを除いた彼らは皆全裸だ。主人公に至っては衣類さえ纏わないのだ。しかし、不思議なことにその姿から"破廉恥"だとか"性的"といった印象が全く無いのだ。






 オレンジがかった砂を基本にしたような色彩が多い映像はとにかく美しい。まるで王族の衣装を万華鏡で覗いたかのよう。そして、前述の要素がそれを邪魔することもない。

 主人公のキリクは腹から自分の力で産まれてくる。その場面から伝わるのは彼の純粋さそのもの。その先に起こる彼の行動を暗示しているように感じられる。あらゆる常識を常識とは直ぐには受容しないのだ。現実にいたら確実に相手にされないような性格だからこそ、展開が進むに連れて、怖いもの知らずでただ純粋な彼が逞しく映るのだ。

 音楽も映像の雰囲気と紙一重の出来。アフリカ民謡の趣を思わせつつハリウッド映画に引けを取らない豪華さを兼ね備えたユッスー・ンドゥール氏の音楽は、一度聞いたら3日は頭から離れないだろう。

 日本語吹き替え版も宣伝目的な安易なキャスティングもない。神木隆之介や浅野温子氏の演技は原語版と聴き比べても違和感はなく、プレスコのような自然ささえあるのだから脱帽モノだ。

 観終わる頃には思わず主人公の名を口遊みたくなる作品。

 

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