私とカートゥーンと鈴と。: イーオン・フラックス Æon Flux

イーオン・フラックス Æon Flux

イーオン・フラックス Æon Flux
(米) 1991,1995 (TV-PG) 50/100


 6/4は虫の日。ということで、何か"虫"が登場する作品はないかと探したところ見つかった作品がこれ。

 1991年に番組と番組の間を埋める5分間の短編アニメとしてMTVで放映され、1995年にシリーズ化された。 若者向けのコンテンツを多数輩出したMTVの中でも、本作はかなり奇妙な作品である。 

 物語は基本的に主人公の女暗殺者イーオン・フラックスと独裁者のトレヴァー・グッドチャイルドのイタチごっこである。5分間の中で戦闘シーンとロマンスとユーモア、そして死亡シーンが毎度映し出される。起承転結ははっきりとしているものの、連結型でなく一話完結のため本作は番号順におって見る必要はない。

 下地には単純明快な善と悪の戦いがあるものの、ストーリーをメインに楽しむものではない。また、アニメーションとしての魅力はあるものの、背景美術が素晴らしいだとか男勝りの女アサシンの美貌に虜になるなんてことはない。

 絵柄がかなり独特な上に、キャラクターの造形も奇形児と言わざるをえないほど不気味だが、それこそが本作の最大の魅力である。
 

あらすじ 21世紀に発生した悪性ウィルスで人類の大半が死亡してから数世紀。ブレーニャ国とモニカ国は各自のテリトリーを境界線で完全に分断していた。ブレーニャ国の権力者トレヴァー・グッドチャイルドは、自らの野望を満たすためにさまざまな実験を試行。だがそれを常に阻止に掛かるのが、モニカ側の女戦士イーオン・フラックスだった。トレヴァーとイーオン、内面に複雑な思いを抱く双方の戦いがまたしても始まる。



 キャラクター達のデザインは全員体型と衣装が歪である。イーオンの顔は整形手術を不必要に繰り返したミュージシャンの顔に似ており、見かけはお腹と背中がくっついても不思議じゃないほど痩せ細っていたり、脚と腕の位置が逆転しているもの、骨抜きされた死体が重力に従って縦横無尽に飛び回るようなものなど、とにかく歪である。静止画では一瞬、"アニメーターのデザイン力が無いのでは"と勘ぐるかもしれないが、本編では予想外のアニメーションで圧倒される。



 冒頭のオープニングでまつ毛で蝿を捉えるという離れ業と、その直後に蝿を見つめる妖艶な瞳から淡い期待感を抱いてしまうだろうがそんなものは"一切"ない女の暗殺者が主人公と聞けば、どこかにエロティズムが炸裂したサービスシーンを多少期待してしまうかもしれないが"本当"にない。しかし、本作の登場人物の行動は"彼女"が死ぬということ以外は全く予想がつかないため、キャラクターの行動に退屈することはあまりない。彼女の作戦は綿密かと思いきや穴だらけで、特攻隊と云わんばかりの行動が多いのだ。

 イーオンも一応、トレヴァーへの恋愛感情はあるらしい。が、そんなロマンスも本作の映像の前では西部劇に登場するタンブルウィード程度の存在感しかない。相思相愛の仲なのか、ただお互いに苛つかせようとしているのかは不明だが、エロ目的でみても性欲減退の効果しかないだろう。

 本作には1話5分のものと30分のものが存在するものの、尺が伸びた分無駄に混乱することが多い後者よりも、初期の5分バージョンの方がおすすめ。なお、シャーリーズ・セロン主演の実写版は上記に記載した強烈な印象を持つカルトさが薄れてしまっているので、おすすめはできない。

 

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