私とカートゥーンと鈴と。: Mr.Pickles ミスターピクルス

Mr.Pickles ミスターピクルス

Mr.Pickles  ミスターピクルス
(米) 2013-放映中 (TV-MA) 60/100
 古き良きアメリカを彷彿とさせる典型的な一家。これといったユニークさが見当たらないありきたりなデザイン。棒読みでも熱演でもない普通の演技。そして、絵に描いたように純粋無垢な家族。
 そんなごく普通の家庭に邪神の魂を背負う凶悪な犬がいたらどうなるのか? 本作はそんな設定から始まる作品である。

オープニング(グロ注意)


 動画に登場するワンちゃんが本作の主人公、ミスターピクルス(以下ピクルス)だ。彼の犬種はイギリス原産のボーダーコリーで主に牧羊犬として家畜を誘導することが多い。ボーダーコリーは犬の中でもかなり賢いといわれており、適切にトレーニングすればかなり心強い味方となる。その分、頻繁に手を噛まれるほど調教が難しく、ブリーダー等の専門士でさえ彼の育成を断る方もいる犬だ。

そんな犬の特性と"悪魔的な"個性もあって、ピクルスの支配欲はとどまるところを知らない。彼は飼い主に隠れて、人間を隷属化させ、飼い主の敵と見なした人間は気が済むまで制裁する。隙きさえあれば、何度でも女性にセクハラ行為をする。いわば、猫をかぶった野獣だ。
 ただ、飼い主として慕う人間には最大級の敬愛を表すため、完全悪のわんちゃんかといえば正直微妙である。少年を騙しているような素振りも今の所はない。

 12分程度の一話完結の本作は、ピクルスの飼う少年・トミーの家族のお話と、彼の家族の仲で唯一その正体を知るトミーのおじいちゃんとピクルスの攻防戦を描いている。

 『フィニアスとファーブ』のキャンディスと彼ら、『インベーダージム』のディブとジムのような"正体を伝えようとしては失敗する"という構図はカートゥーンではありふれており、コメディ要素として頻繁に利用される設定の一つだ。しかし、ピクルスとおじいちゃんの関係は上記のような微笑ましいものとは程遠く、むしろ一種のサスペンスドラマに近い。彼の飼い主の血縁関係のお陰で首の皮一枚の状態の老人と、その怯える様を弄ぶワンちゃんの駆け引きは見もの。




 舞台となる街はピクルスほどの狂気はないものの、住民達は"どこか"イカれている。猟師は自家用車の上に血塗れ鹿を載せたままだったり、ピクルスに制裁される人間は常時興奮気味だったり。グロエロ描写のどぎつさはアダルトスイム作品の中でも比較的高く、サウスパークやパッピーツリーフレンズを観ただけで偉ぶるような児童が観れば、間違いなく後悔することとなる。("Mr Pickles"で画像検索すれば一目瞭然だ。)


本作が他のアダルトスイム作品と大きく異なるのは、主人公の犬の二面性のように惨劇と日常を一つの画面の中で纏めようとせず、完全に別けて描写していることである。飼い主のトミーが登場する場面では基本的に不自然なくらいに"普通"で、それ以外の画面はただただ気色悪いのだ。なお、飼い主のトミーはそういった現場を観ても叫んだりせず、無表情になることが多い。プラス・マイナスを交互に見せつけることで、視覚的な衝撃が長く続くのは素晴らしい。

 惜しいと感じたのは、ピクルスの個性や行動が余りにも衝撃的で、視聴後に記憶に残るのが彼だけだと言うことぐらいか。

 余談だが、本作が初めて日本国内で公開された際、アダルトスイムの紹介枠として上映された。ただ、大人向けと広告やポスターに記載があっただけで、厳密に言えば視聴制限無しの状態だったのだ。劇場館内には見当たらなかったが、もしあの場に中学生未満の少年少女がいたらどうなったことか.... 考えただけで恐ろしい。
 

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