私とカートゥーンと鈴と。: ソーセージ・パーティー Sausage Party

ソーセージ・パーティー Sausage Party

ソーセージ・パーティー Sausage Party
2016 (米) R 80/100

 一升瓶を飲み干して気分を盛り上げれば、最高の時間を過ごせる世界初のR指定CGアニメーション。

 Amazonの商品ページや映画館でたまに見かけるのが、子供には見せられないと批判する観客だ。これがアンパンマンだとかハローキティならその批判にも頷けるが、本作を訴えるのは流石に馬鹿だとしか言いようがない。医療ドラマで臓器を見せないで欲しいだとか、ホラー映画で怖い場面がないものを望むほど同じぐらい頓珍漢な行動だ。

 ポスターの一枚絵から察せられる安直なメッセージは、小中学生レベルの発想がシンプルで強烈だ。加えて、日本語版の新規のキャッチコピーの【食われて"タマ"るか!】も負けず劣らずのクォリティ。そして、本編はそこから思い浮かぶ期待通りのアニメーションとなっている。

あらすじ
 スーパーマーケットに陳列された食材達は、人間たちが出入りする"ドアの向こう"には楽園が待っているのだと想いを寄せていた。そんな中、ソーセージのフランクとバンズのブレンダは見事選ばれ、楽園へと向かうカートに入れられたのだ。ところが、そんな楽園の真実に怯えるハニーマスタードの暴走によって、そのチャンスを棒に振ってしまう。残念な結果に落胆する二人だったが、彼らが命拾いしたとは夢にも思わなかった...
予告篇
 

 人種ネタやLGBTネタ・現代社会への風刺が込められているものの、本作のウリである下品さを着飾るものにはならず、下ネタでは埋まらない部分を補修したに過ぎない。人種のるつぼとは無縁の日本人に見せたところで、笑いに直結しないのは惜しい。

 小学生が好みそうな下ネタを極限まで複雑に、豪華にした本編は間違っても家族で見る代物ではない。一人で見るのも物悲しい。かといって、デート映画としても男女の双方が下ネタ好きでなければ不適切である。 当時、本作を映画館で鑑賞した際、怖いもの見たさで観に行ったカップルを上段の座席から見ていたが、彼らの笑い声は終盤の“ソーセージパーティー”の場面で完全に消えていた。(その反面、私はホットドッグを片手に携えて、終始笑っていたが。)

 じゃあ、誰向けなのか? それは、主演俳優のセス・ローゲンの監督・出演映画が好きな方とほろ酔い気分の人向けである。少なくとも、淫猥で下品な表現に耐性がない方は絶対にみてはいけない。

 北朝鮮に乗り込んで金正日を抹殺する映画”The Interviewer”や、SFネタの塊のような宇宙人・ポール役で、内気なオタクの内面性を笑いに転化させる映画人・セスローゲン。彼の悪ノリはとどまることを知らず、堕ちるところまで堕ちるのだ。 というのも、作品が生まれる発端が最高にくだらないアニメを作ろうと脚本家と語り合うところから始まっているからだ。

 そんな喋るソーセージの映画の話を余程気に入ったのか、集結した制作陣は想像を絶するほど豪華だ。

 監督はアニメ映画を多く手掛けるコンラッド・ヴァーノン。ドリームワークスでの滞在歴が長く、関西弁のオーガが大活躍するドリームワークス史上最大のヒット作『シュレック2』や、古今東西のSF映画のリスペクトがぎっしり詰まった怪獣映画『モンスターVSエイリアン』、カジノから逃げるカーチェイスシーンに圧倒される人気コメディ『マダガスカル3』、TVアニメの設定を完全無視したファン向け(?)映画『ペンギンズFROMマダガスカル ザ・ムービー』といった映画を手掛けている。

 共同監督はグレッグ・ティアナン。ドン・ブルース作品の『アメリカ物語』『リトルフットの大冒険』でアニメーターとして、『きかんしゃトーマス 魔法の線路』では監督を務めている。その他大勢の俳優が出演している。

 そして音楽担当は日本でもその名前にピンとくる方の多い大御所。『美女と野獣』『アラジン』でディズニー黄金期の名曲を奏でた大御所のアラン・メンケンだ。ディズニー映画での鬱憤が溜まっていたのか、本作では全年齢映画では到底不可能だったFワードが惜しげもなく、しかもたっぷりと聞ける。言い回しも字幕では表現できない下品さで、『フルメタルジャケット』のハートマン軍曹とタメを張れるレベルだ。

 公式動画のプレスコでも終始笑いが収まることはない。観客を喜ばせることよりも【制作陣】自分達が楽しもうとしているのは明白だ。



 デザイン面では、過去の傑作や名作への尊敬の念が感じられる。例えば、CGアニメの"ありきたり"を風刺したレンダリングは『トイ・ストーリー』への既視感が強い。“Happy Tree Friends”と同様に作り手側に純粋無垢なキャラクターに対する悪意が溜まっていたのだろうと伺わせる。また、作中でも指摘されていた食品達が装着する手袋や靴からは、ミッキーやバッグスが活躍していた頃のクラシックカートゥーンを彷彿とさせている。また、人物紹介を兼ねた食品たちの歌唱シーン。人間に貪られるとも知らずに歓迎する哀れな姿は、さながらアメリカ版“BE OUR GUEST”といったところか。

 子供向けのようなキャラクターが織りなすらんちき騒ぎが好きなら、有無を言わさず観よう。間違っても、子供には見せないように。

 一つ気になったのは...
 米国人中心のアニメなのに主人公のフランク達が12cmなのはなぜ?(あんたら、もっと長いだろ...)
 

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