私とカートゥーンと鈴と。: お蔵入りのディズニー・アニメ

お蔵入りのディズニー・アニメ

お蔵入りのディズニー・アニメ
Disney Features that were never released

 光あるところに影あり、未完成に浪漫あり。

 『塔の上のラプンツェル』のスタッフが贈る『ギガンテック』"Gigantic"の製作中止の知らせや、ディズニーが今後公開する多数の続編・実写化作品の予定を見ていると、過去に頓挫した企画を再起動して欲しいと思う今日このごろ。

 今回はお蔵入りとなったディズニー作品でも、特に興味の湧いた作品の紹介。

 (※邦題に関しては原作の題名・原題の直訳で、公式の邦題が付いた作品は全く無いので悪しからず。西暦は製作中止が決定した年。)

妖精の王 King Of The Elves 2013年

 アーノルド・シュワルツェネッガーが鼻の穴から探知機を抜く場面が記憶に残る『トータル・リコール』や、SF映画の概念を根底から覆したと言われる『ブレードランナー』の原作者フィリップ・K・ディックが1953年に発表したファンタジー短編小説『妖精の王』の映画化。ミシシッピ・デルタの森でのトロールとエルフの戦争を救うべく、成り行きで王にさせられたごく普通の男の物語。 監督は『ブラザー・ベア』のアーロン・ブレイズとロバート・ウォーカー。

 2008年4月に開始したものの製作は難航し、2009年12月に棚上げ。2010年7月に『ボルト』のクリス・ウィリアムズが監督することが報じられ、2011年6月にはマイケル・マーコウィッツが新たに脚本を執筆していることが判明した。
2013年にアナと雪の女王に関する発表の際に説明された進行報告を最後に、続報は途絶えた。本作が頓挫した理由は、"Gigantic"同様ストーリーの修正が効かなかったこと。制作に携わったアーティストが流出させたコンセプトアートがあるだけで、それ以上の詳細は不明。
 妖精×中年男性なんてファンタジーアニメなら、物珍しさだけで興味のそそる内容なのになあ。ディズニー映画は妖精(Pixie)はいても、エルフやドワーフのような精霊のキャラクターは少ないし、もし完成してたら貴重な存在だったのかも...



ワイルド・ライフ Wild Life  2000年

※2016年に公開されたCGアニメ『ロビンソン・クルーソー』とは一切関係なし。


 ウォルト・ディズニー・カンパニー自身で製作を完了した最初のCGアニメは、2005公開の『チキン・リトル』である。しかし、企画されたのはこちらが先だ。本作は、『マイ・フェア・レディ』の原作である1913年に発表された戯曲【ピグマリオン】をベースに、70年代のポップカルチャーの影響を受けた芸術色の濃い映画になる予定だった。

 監督は、ディズニー退職後に大手スタジオの紛い物を専門に手がけることになるハワード・E・ベーカーと、ディズニー映画『ヘラクレス』のヒュドラが登場する場面を担当したロジャー・グールド。本作は、CGと大型の模型でリアルな映像を生みだした『ダイナソー』とほぼ同時進行で製作されていた。

 内容は、ライバル店の影響で閑古鳥が鳴くナイトクラブの女性の経営者レッド・ピッツァンが、かつてのカリスマ的栄光を取り戻すべく、動物園の人語を話す不思議な象と協力して客を引き戻そうとするといったもの。

 アンディ・ウォーホールの息吹が感じられるコンセプトアート。ファッション雑誌の編集長を彷彿とさせる華美で繊細そうな主人公。アイドル、ファッション、キャットファイトなど、ミュージカルアニメの新たなる道を模索した形跡が残る異色のCGアニメ。
 本作の問題は、時間の経過と共に『ロジャーラビット』『スプラッシュ』のような大人を対象に絞ったタッチストーン・ピクチャーズ向けの映画に変貌したことだった。『ノートルダムの鐘』におけるガーゴイルや、『ムーラン』におけるムーシュのようなコミックリリーフを登場させる余裕もなく、家族連れの客が見込めないR指定寄りのPG映画を、ディズニー印で公開する訳にはいかなかった。90年代後半から製作を続けていたものの、結果的に棚上げされることなくお蔵入りとなった。

 なお、仮に本作が完成していたら、ディズニー映画のCGアニメ部門が誕生し、手描きとCGを交互に製作する土台が完成していたという。この映画が完成していれば、間に合わせでCGを採用した『チキン・リトル』も生まれなかったのかも...?



 ニュート Newt 2011年


 今もなお、CGアニメーション界を牽引するピクサーの作品で唯一、制作発表会を開催したにもかかわらずお蔵入りとなった作品。7度のオスカー受賞歴があるサウンドデザイナーで、『レミーとおいしいレストラン』の前日談的短編"Lifted"の監督、ゲイリー・リンドストロムの初の長編監督作品。
 内容は、地球でないどこかの惑星に住む両性具有で青い手足を持つイモリが、科学者のブルックと共に科学の力で種族の存続に奔走し、科学でなく愛の力で、難問題を解決するといったもの。
 2008年4月に題名未定の新規作として発表し、2012年までに公開する予定だったものの結果的にお蔵入りとなった。中断した理由等の公式発表は伏せられているものの、20世紀フォックス有する【ブルースカイ・スタジオ】の長編作品『ブルー 初めての空へ』と話が酷似しているのが直接の理由だと言われている。
 『バグズ・ライフ』に次ぐ小動物視点の熱帯雨林に近い大自然が堪能できる映画だったと思うと、この目で拝めないのは惜しい。しかし、同時期の『カーズ2』『メリダとおそろしの森』の完成度の低さから察するに、映画に対する自信が無かったのだと思われる。






イエローサブマリン Yellow Submarine 3D
2012年
 今年で公開50周年となるザ・ビートルズのアニメ映画『イエローサブマリン』。2008年にディズニーは3Dアニメとしてリメイクする計画を発表した。ロバート・ゼメキス監督が共同でプロジェクトを進めていた。製作準備のため、本編で使用された"All You Need Is Love","Lucy In The Sky With Diamonds","Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"などザ・ビートルズのトラック16曲の使用許可を申請していたという。

 本作がお蔵入りとなった一番の原因は、監督のゼメキス自身にあった。彼が目指す写実主義のCGアニメを製作する拠点が閉鎖されたのに加えて、閉鎖後も拠点を変更して完成させた『少年マイロの火星冒険記』が興行的に大失敗したことが大きな原因だ。この悲惨な結果を承けて、ディズニーは企画を中止を決定したのだった。

 3Dでリメイクする以前にサイケデリックなデザインを放棄した時点で、企画を中止すべきなんだよなあ... ただ、ビートルズのメンバーが気持ち悪いぐらいにリアルになった姿は少し気になるところ。

かいじゅうたちのいるところ
Where the Wild Things are  1983年

 ピクサーを築き上げ、暗黒期のディズニーを救った救世主、ジョン・ラセター。そんな彼の若かりし80年代、彼は自分が本当にやりたい事ができずに行き詰まっていた。そんな中製作中の『トロン』で初めてCGに出会い感動していた。その後、当時映画化の権利を有していた児童文学の大ベストセラー『かいじゅうたちのいるところ』を題材に、CGの背景と手書きのキャラクターを組み合わせる手法で30秒のテスト映像を作成した。ところがディズニーはこの映像をあまり評価しなかった。

 その後、彼は『いさましきちびのトースター』の監督として選ばれる。そこで彼は、前述の技法を全編に採用することを企画会議で発表するものの、その直後にラセターはディズニーを解雇される。



 ジョン・ラセターが制作したテスト映像はその表現技法を解説する際に利用されただけで、製作に活かされることなく、企画はお蔵入りとなった。なお『かいじゅうたちのいるところ』のアニメ化作品は、50年代のトムとジェリーを中心に担当したジーン・ダイッチ氏による原作の作風を重視した短編アニメのみ存在する。

 原作絵本の絵柄から大きく逸れたディズニーチックな作画の場合、どんなオリジナリティが生まれたのかが気になるところ。

 ディズニーやピクサーには、続編中毒に陥らずに完全新規作を製作してもらいたいものです....
  

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