私とカートゥーンと鈴と。: ロシア版 ムーミン Муми-тролли

ロシア版 ムーミン Муми-тролли

ロシア版ムーミン Муми-тролли
1979-1983(露) 45/100
 8月9日はムーミンの日。それは、フィンランド生まれの作家トーベ・ヤンソンの生誕にちなんで制定された日。しかも、よりムーミンの魅力に浸ってもらおうとする試みのために"日本独自"で制定された日。 そう、日本でのムーミン愛はそれほど深いのだ。5回も日本主導でアニメーション化がなされ、ムーミン谷を再現した1/1スケールの家や自然が国内に生まれたほど、ムーミンが大好きなのである。

 よくムーミンをカバの一種かなにかと間違える方も多いが、このデザインじゃ正直仕方ないと思う。
ムーミン 1969年度版
ムーミン 1972年度版

楽しいムーミン一家 冒険日記(1991)

楽しいムーミン一家 (1990)




























 ムーミンは日本を始め、ドイツ、スウェーデン、ソビエト、ポーランド、オーストラリア、オランダ、フランス、アルメニア英国と、国籍を問わず世界中で製作されている。そんなムーミンの二次創作物の中でもとびっきり悪評高いのが、今回紹介するロシア版ムーミンである。因みにこの作品、日本公式のムーミンのホームページやwikipediaでは一切言及がない。以前触れたロシア版プーさんでは、チェブラーシカと肩を並べられるほどロシア人に愛されたキャラクターだったが、本作の場合はロシア国民にさえ忘れ去られている。

 その理由は、この映像で瞬時に解かるだろう。



 原作はムーミン・シリーズにおける第三作目の『楽しいムーミン一家』(1990年のテレビアニメとは別物)。監督はアナトリー・アライシェフ【Аляшев, Анатолий Алексеевич】。 





製作された3つの短編(邦題は非公式)

  • "Муми-дол. Всё дело в шляпе"『魔法の帽子』(1980)
    «Муми-дол. Лето в Муми-доле» 『ムーミン谷の夏休み』(1981)
    «Муми-дол. В Муми-дол приходит осень»『ムーミン谷の秋景色』 (1983)
製作はスヴェドロフスク映画スタジオ『チェブラーシュカ』や『雪の女王』といった作品を保有するソユーズムリトフィルムとは違い、こちらは映画スタジオ。ソ連崩壊による打撃を受けるまでは、国営スタジオの質に勝るとも劣らないスタジオだった。

 ロシアアニメーション特有の美術や動きが人を敬遠させる原因になることはあったが、ビジュアルの嫌悪感のみでここまで不快にさせたものは中々なかった。スナフキンやスニフ、スノークはまあ辛うじて許せるが、このムーミンはどうにかならなかったのか?
スナフキンとムーミン
左からフローレン、ママ、パパ

 ムーミントロール"トロール"の部分を中心にデザインしたとしか思えない醜悪さ。登場キャラを区別するために異様に多く生やした髪の毛。原作の挿絵を完全に無視した冒険的な作風。衣服を着用しているのに、他のバージョンとムーミンと比べてずぼらに見える姿。切り絵アニメなのに鼻が微妙に動いたり、歯を剥き出しにした笑顔を見せる辺りは、最早悪意すら感じられる。田舎っぽさを備えたガンバや、長くつ下のピッピのような腕白な性格があれば、このデザインもありなのだが...

    癖の強い分、何度も見返せばこの絵柄も魅力になるのだが、そこに至るまでの道は相当長いと感じられる。作中の登場する動物、小鳥やライオンには茶目っ気があって可愛らしいのに、どうしてこうなった...

  

 キャラクターデザインは正直褒められたものじゃないのに、背景美術や音楽・声の演技は他の代表的なロシアアニメに引けを取らないほど素晴らしいのが大変惜しい。草木や建物が淡い色調で彩られ、棒読みの演技もなく、ふわふわとした優しい雰囲気に包まれた世界。ムーミンさえ悪くなければねえ.....  本作の数年前に制作された人形劇(1978)もロシア産なのだが、こちらは原作の絵柄に忠実で親近感の湧く作品となっている。再現する技術は確かにあったのに、どこで間違えたのやら...?

おまけ 世界初の動くムーミン(ドイツ製1959年)


  

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