私とカートゥーンと鈴と。: Twice Upon a Time ~お伽噺は二度廻る~

Twice Upon a Time ~お伽噺は二度廻る~

Twice Upon a Time
1983 (米) PG 90/100
 ジョージ・ルーカス。彼が手掛けた代表作といえば、『スターウォーズ』『インディ・ジョーンズ』といった冒険活劇を浮かべる方が多いだろう。しかし、映画スタジオを自身の手で設立させた博打男が、似たり寄ったりの映画しか撮らない訳がない。以前紹介した、『サムアンドマックス』『デイ・オブ・ザ・テンタクル』『グリム・ファンダンゴ』といったゲームはルーカスフィルムのゲーム部門で開発されたものだし、『スターウォーズ』の誕生には古き良き時代を想い出させる青春映画『アメリカン・グラフィティ』の多大なる成功が起因している。

 ルーカスが描く著名な冒険活劇以外は、公開当時に売れただけで闇に埋もれるものや、そもそも閑古鳥が鳴くほど不評な映画が多かった。今回はそんな作品。

予告編



 監督は『Down and Dirty Duck』チャールズ・スウェンソン。UPA出身でアンチディズニーを謳ったアニメーター達は、写実的な映像を目標としていたディズニーの方針に不満だった。特に作画班の苦労は日本のアニメ業界以上に悲惨で、作業の軽減と新たな芸術への模索を望んでいた。その結果、その時代にディズニーを辞めていった彼らは、何かと意固地になって芸術性を高めようと躍起になっていた。そのため、彼らのアニメーションは、場面の一つ一つが天変地異やピカソやダリのような印象派のようなイメージを受けることが多かった。本作ではその芸術性が嫌というほど炸裂しており、英語圏でない方でも視覚的な要素だけで満足できるだろう。

 アメリカン・グラフィティやスターウォーズ、レイダース等の代表作で波に乗り始めていたルーカスフィルムが初めて手掛けた本作は、会話のセンス、演出、発想、表現方法に至るまで、何もかもが素晴らしい。びっくり箱のネジを巻く時の緊張感と、イッツ・ア・スモールワールドのデザインを担当したメアリー・ブレアと類似するセンスが見事に調和している。予告編の映像では学術研究に適した実験映像の側面が垣間見れるだろうが、観客を置いてけぼりにさせる突発的な場面はない。実写映像に伝統的な手描きアニメーション、コマ撮りを一度に採用したこの『Twice Upon a Time』は、お伽噺のようで全く違う寓話的な世界へと観客を誘ってくれる。





 また、本作を鑑賞すると、ルーカスやスピルバーグといった大御所ほど身内の映画に関してはパロディに寛容なのが伺える。本編中にはインディ・ジョーンズを茶化した台詞やダース・ベイダー映像が引用されており、そのギャグのほとんどが滑稽で映画好きなら涙笑いさえ引き起こすかもしれない。

 なお、映画のバージョンは2つ存在する。ひとつはえげつない会話と罵り合いを特徴とし、もうひとつの(監督たちのお気に入りの)バージョンだ。後者はあらゆる年齢層向けにふさわしいものとなっている。監督側は全年齢のバージョンを好んでいるのだが、あらゆる技法や画風をまとめた闇鍋のような実験作に対して、子供にも鑑賞に耐えられるように工夫を施したところで、製作陣は本領発揮ができるのだろうか? 勿論、非難や罵倒、エロや下衆で目を引かせることを奨励するわけではないが、ここまでカオスな作品ならむしろ羽目を外したものの方が興味が湧く。

 原題の"Twice upon a time" はニュアンスを込めた日本語訳が大変難しい。(と思う) 世界全体の時間を動かす"コズミッククロック"の不具合によって二組の主人公が世界を修復する姿。そこから、"二度繰り返される"寓話という意味合いを込めて、Once upon a timeをもじったセンスは素晴らしい。

 残念なことを挙げれば、やはり入手困難であることと、内容の奇抜さが災いして全く売れなかったこと、そして日本国内におけるルーカスフィルム作品の版権保有者がウォルト・ディ◎ニー・ジ◎パンにあることぐらいか。

1 件のコメント:

  1. 最後伏せ字の意味無いやろw
    (すみませんどうしても突っ込みたかったもんで…)

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