私とカートゥーンと鈴と。: これぞカートゥーンバイオレンスの真骨頂。"Superjail!"

これぞカートゥーンバイオレンスの真骨頂。"Superjail!"

スーパージェイル!  Superjail! 
(米) (TV-MA) 2008-2014 75/100
※18歳未満は自己責任での閲覧をお願いします。
製作 クリスティー・カラカス
   スティーブン・ウォーブリック
   ベン・グルーバー
アニメスタジオ Augenblick Studios (パイロット版とシーズン1)
        Titmouse、Inc. (シーズン2から4まで)
監督 クリスティー・カラカス
音楽 ブラッド・フォードリード (パイロット版とシーズン1)
   ディディエ・レプレー、ジョー・ウォン(シーズン2から4)
企画 シャノン・プリノスキー

 "過激な"アニメとひとえに言っても色々なものがある。例えばシンプソンズやサウスパークでは、有名人や時事ネタに痛い発言や行動を指す。また、『The Oblongs..』のように常人離れの外見や一般向けとは言い辛い奇怪な作風を指すこともある。
 今回は、そんな"過激さ"がウリのアニメの中でも、ビジュアル面に傾倒したアダルトスイムの看板作品の紹介。

日本で唯一放映されたAS作品『ホームムービーズ』
初期のアダルトスイム(以下AS)は、深夜帯という無法地帯を活かした破壊的でアナーキーな映像が占めていた。捻くれ者の集まりが試行錯誤して完成させたような無慈悲な脚本は、終始で腹をくすぐらせてくれた。小学三年生に社会の辛辣さを教えた『ホーム・ムービーズ』に、第一印象の珍妙さと脱力感満載のプレスコが癖になる『アクア・ティーン・ハンガー・フォース』などは、その代表格だ。


 その一方でそれらの作品群には、現在のASの作品群ではお馴染みの"一筋縄ではいかない"グロテスクの要素が存在しなかった。どういうことかと言うと、単に残虐性の高い状況を映したものだけで、そこで起きた出来事にそれ以外の意味や関連性が無かった。

 そんな、要素を随所に散りばめたアニメがこの『Superjail!』である。


本作の主人公ことウォーデン

 巨大火山の聳え立つ孤島の頂上にあるマグマが浸ったカルデラ湖。その更に上の火山の頂上に構えた刑務所が本作の舞台である。その刑務所は空想世界を具現化したか如く、どんな非現実的なことでも現実にする"悪夢"の刑務所だ。その"空想"はあくまでも所長の気まぐれなだけで、囚人の意見は大抵無視されているからだ。
看守長のアリス
そして、登場人物は正直言って誰一人まともじゃない。まず、倫理観ほぼゼロの刑務所所長のウォーデン。腕白坊主に近い純粋さを持った声で、身分の隔たりなくお気軽に話しかけてくるが、周囲で頻繁に発生する騒動に慌てふためくことはまずない。マイペースで行動する彼の姿はまさにウィリー・ウォンカの青年期の生き写しといえるだろう。

会計士のジャレッド
筋肉隆々でホモ専の看守長のアリス。どんなに凶悪な犯罪者でも、"素敵"と一言呟いてしまう強面な男。職権乱用で囚人を嬲り、浴室を覗き見することもしばしば。

 引っ込み思案で小心者の会計士ことジャレッド。一見、こんな場所では到底生き残れなさそうな風貌だが、侮ってはいけない。これでも元マフィアの会計士で、良識的な性格を維持できずに中毒症状に陥ることもある。
ジェイルボット

 そして手段を選ばずに犯罪者に制裁を与える万能ロボのジェイルボット。少年少女に最低限の注意を払いつつ、オープニングで暴れまわっている人工知能搭載型ロボット。本編中でも、人間・化物関係なく孤軍奮闘する姿が多々ある。また、これでも介護用のロボットだから恐ろしい。

 誰に注目しようが彼らから滲み出る狂気を有耶無耶にさせる者などいない。


 囚人たちも一般的な格好と造形のが多いものの、主要人物のクレイジーさには敵わない。なんたってウォーデンが経営するのは、他の刑務所から誘拐したり、警察では対処不可能な罪人を捕獲して囚人数を増やす"超"刑務所(スーパージェイル)なのだから。

 背景画に映る舞台もとい"スーパージェイル"の内部構造は子供の想像力のように発想に溢れているが、それらのほぼ全てが囚人用の設備でろくでもない。人の命を管理する能力は無きに等しく、目視で確認できるだけで毎回数十人の囚人が死傷している。それでも、ウォーデン自身は、囚人思いの優良な所長と思い込んでいるから恐ろしい。

 そして、何と言っても本作の最大の特徴兼見所は、他の追随を許さない漫画調のエログロ描写。本編中のキャラクターの感情表現は創意工夫に満ちている。囚人たちが毎度経験する地獄絵図に至るまでの経緯は、その動作の一つ一つが円滑で迫力満点だ。殴る、蹴る、潰す、叩く、噛む、撚る... 暴力描写をコミカルに描く場合、現実社会から目を背けたようなものや、一時的な行為だけを大袈裟に見せて、突飛押しもない場面とそのの差で笑わせることが多かった。

 しかし、この『スーパージェイル』では残虐性に吐き気を催す前に、小刻みに挿入された衝撃的な場面によって唖然とする。それと同時にホラー映画のハイライトを観賞するように、再度本編を観賞してしまう。古典的なカートゥーンには本来無かった血や臓物を敢えて描いたことで、他にはない独自の"グロさ"につい見惚れてしまうのだ。この感覚は、ドナルドダックやグーフィー短編を監督したジャック・キニー氏のアクションシーンを見ているものに近い。(※勿論コミカルだからといって、行動の重みそのものが軽くなる訳ではない。そして、虚構の中の刺激であり、現実で欲求している訳ではない。)

 アダルトスイムの作品群に"見る麻薬"と称した方は、正に的を得た発言をしていると思う。他にも該当するものはあるが、『スーパージェイル』は特にそう。一時の衝撃的瞬間で刺激されるものでなく、連続して想像を絶する狂気を与えるアニメーションだからだ。

 途轍もないグロテスクにもどんと来いと胸を張れる方にはお勧めのAS作品。

本編一部(グロ注意)

 

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