私とカートゥーンと鈴と。: ベンチャー・ブラザーズ Venture Bros.

ベンチャー・ブラザーズ Venture Bros.

ベンチャー・ブラザーズ Venture Bros.
2003~ (米) TV-MA 60/100

 過去に読み老けていたライトノベルを思い出してみると、殆どの作品が登場人物の乱発で内容に追いつけなくなることが多かった。ただ、本筋の複雑さで読書を放棄するということはあまりなかった。というのも、一見複雑に絡み合うと思いきや振り出しに戻る、展開が急激に進んだと思いきや意味なく終わるといった現象に何度も出くわしていたからだ。

 今回は、複雑過ぎて内容を追うのに必死になるアニメーションの紹介。

オープニング


米国独自の発展を遂げた冒険活劇
最近では、ブラッド・バード監督が『インクレディブル・ファミリー』で『ジョニークエスト』や『アウターリミッツ』等のアメリカ国民が懐古するSFネタを随所に投入していた事が話題になったが、本作でもそういった要素がてんこ盛りだ。

上 ベンチャーブラザーズ
下 ジョニークエスト(1964)
オープニングの映像で何となく察した方もいるだろうが、本作の骨組みはまんま『ジョニー・クエスト』(以下①)である。飛行機の操縦場面で登場する博士と助手と子供二人の構図は①と全く同じだ。【世界中を股にかけ、育ち盛りの息子?達を、悪党たちが蔓延る死と隣り合わせの冒険へと付き合わせる】という基本的な内容は①へのリスペクトといっても過言ではない。
 その他、番組本編でも60~70年代のアメコミ文化やアクションアニメに多大な影響を受けていることが分かる。宇宙忍者、もといファンタスティック・フォーやスパイダーマン、ドクターストレンジ等のマーベルや、バットマン・スーパーマンといったDC、上記の①の要素、そして2003年当時のアダルトスイムの息吹だ。不条理でいい加減でアナーキーな特色とアメリカのオタク好みのANIMEの影響もちらほらと見受けられる。





 次に主要なキャラを紹介しよう。

 チーム・ベンチャーという取って付けたような安直なネーミングが特徴の4人組を仕切るのがベンチャー博士・本名ラスティだ。幼少期にテレビ番組で冒険少年を演じていたものの、その全てがトラウマとなっている。そんな彼には2人の息子がいて、彼らの名はディーンとハンクだ。彼らが所謂ベンチャーブラザーズで、①同様に名前が題名に記されているのにもかかわらず、主役の座に居座れない"哀れな"二人組だ。何が哀れって、ラスティのトラウマの原因となった冒険を、彼が自分の親父から引き継いだせいで、無理矢理付き合わされているってこと。(こいつら後半は扱いがほんと酷いからなあ..)

※出典 POKER NIGHT 2 STEAMにて好評発売中
そして、ベンチャー博士の護衛役を務めるブロック・サムソンだ。PCゲームにふれる機会にある方なら、彼の勇姿をご覧になった方も少なからずいるかも知れない。本作の登場人物の中で人気と知名度が比較的高い彼は、他作品への顔出しが結構多いのだ。{テキサスホールデムとオハマが楽しめる『Portal』のグラドスが司会進行を務める『PokerNight2』は、英語に堪能でない方でも気軽に楽しめるぞ! }

 話が進む毎に、キャラクターの数も増していく。黄色いアゲハ蝶のコスプレを施したような服を纏う彼らの宿敵モナークに、その妻のドクター・ガールフレンド、手下の構成員ことヘンチマン"21"、ダースモールとクリソツのレッドデスに、変幻自在のソブリンといった具合に続々と登場してくる。このように本作では、設定をより難解にしてネタ不足を回避している。こういう傾向は決して悪くないのだが、時たまゲストキャラのような扱いのまま無残に消えていく者もいるのが厄介だ。ただ、レギュラーキャラから降板したかと思えば、ひょっこりと復活する姿を垣間見るのも、本作の楽しみの一つなのだが。

 子供達の背後から監視する親の目を気にしないでいいアダルトスイムでは、残酷・エロ等の過激描写に怯えることはまずない。だから、敵味方関係なく容赦ない制裁が待ち受けている。流石に主人公は大丈夫...と思った矢先にお陀仏になることだってある。要は、一話完結のスキを突いて、連続ドラマのような奥深さを見せつけた『リック・アンド・モーティ』のような魅力も、本作にはあるってこと。但し、こっちは酷く複雑だけど。特に、一度死んでもやり直しを効かせるようにする展開は衝撃的だ。スーパーマンが地球と反対方向に飛行し続けるような荒業で、何事もないようにしているのだから。

 アニメーション自体はシーズン4辺りまで低予算臭のするFLASHで製作されていたものの、思わぬ人気ぶりに上層部も一目置いたのか、シーズン5以降はチープさは消え失せて映像的にも見応えたっぷりだ。本作のような前置きなしの新設定は、打ち切り作品の典型例なのだが、本作の場合その意外性見たさに視聴を継続する節がある。というわけで、珍妙さと冒険を欲する方にならお勧めの一作だ。

 但し、英語学習のつもりで気軽に触れようものなら、展開の複雑さに脳細胞がショートするか、飽きて他のアニメに乗り換えるかの二者択一を迫られることとなるので要注意。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気の記事