私とカートゥーンと鈴と。: 誰だろうと容赦なし。死屍累々の果し合い。『セレブリティ・デスマッチ』Celebrity Deathmatch

誰だろうと容赦なし。死屍累々の果し合い。『セレブリティ・デスマッチ』Celebrity Deathmatch

セレブリティ・デスマッチ Celebrity Deathmatch
(米) (TV-14) 1998-2002,2006-2007 65/100
企画 エリック・フォーゲル
監督 エリック・フォーゲル (1998–2002)、アンドリュー・ホーン(2006–07)、ジャック・フレッチャー (2006–07)
出演 スティーブ・オースチン (シーズン1) 、モーリス・シュラファー (1998–2002)、 (1998–2002)、ミルズ・レーン (1998–2002)、クリス・エドガーリー(2006–07)、マササ・モヨ (2006–07)、ジム・ソーントン (2006–07)
音楽 エリック・パームッター、アラン・エリオット
製作総指揮 アビー・タークール(1998–2002)、リチャード・ドクトロウ (2006–07)

 エンターテイメントの要素をふんだんに盛り込んだスポーツ、プロレスリング。90年代晩期から一部の界隈で絶大な人気を誇る娯楽の一種だ。レスリングや相撲、ボクシング、ラグビーのように体と体を徹底的に痛めつけ、勝利に必要な得点やK.Oの為に正々堂々と戦うスポーツとは違い、プロレスは緻密に計算された台本から成立した血湧き肉躍る格闘技の舞台劇である。

 そんな映画さながらの臨場感を兼ね備えたプロレスは、思わぬ副産物も産み出してきた。ネイサン・ジョーンズ、ジョン・シナ、バティスタ、ビル・ゴールドバーグ等のプロレス業から派生した俳優達は、80年代を謳歌した筋肉隆々のアクション俳優とは一味違う活躍ぶりを見せてくれた。

 ハリウッド映画で引っ張りだこのドウェイン・ジョンソンだって、昔はプロレス出身。ロック様"THE ROCK"というクールな愛称で活躍していたのに、今じゃあその名前も聞かなくなった。

ドウェインジョンソン主演 (2002)『スコーピオン・キング』


 そんな人気に目をつけたMTVが産み出したのがこの『セレブリティ・デスマッチ』である。敢えて、日本語訳するなら『有名人ガチンコ勝負』が適切だろうか。

 セレブという単語は日本語で一般的に【金持ち】を指す言葉として浸透している。ただ実際には、金持ちという意味はどこにもない。本来の"Celebrity"は名声や有名人という意味。第二次大戦以前は圧倒的知名度を持つ政治家を指す時に用いられていた。しかし、日本では何故か有名人の豪勢な暮らしぶりを指す俗語として定着してしまった。

 なぜこんな説明をわざわざ挟んだのかというと、過去に本作の話題を出した際、女性誌に掲載されるようなスキャンダラスな内容のアニメかと勘違いした方がいたからだ。和製英語に惑わされてとんでもないキワモノを観た彼女の心境はどんなものだったのだろうか?




 さて、本作の特徴はプロレス中継と出演する有名人とクレイアニメーションの3つだ。

 プロレスは基本的に娯楽要素を意図的に盛り込んだ八百長試合。そのため実況役には事前に台本が配布されている。時たま、本番でのアクシデントに対応するために、適切なアドリブを挿入させることがあっても、行き当たりばったりなんてことはない。しかし本作の場合はアニメーションである以上、土壇場でのアドリブなんてものはないし、生中継なんてこともない。それでも、『セレブリティ・デスマッチ』は実写さながら、いやそれ以上の迫力ある中継を見せてくれる。

 相手が血塗れか粉々に砕け散るまで戦闘を止めないプロレス故に、試合会場が地獄絵図となることもしばしば。しかも、それを事細かに、比較的冷静に実況役が解説するもんだから、一つ一つの出来事に驚く前にただ笑うしかない。

 クレイアニメーションはかなり円滑で敢えてギクシャク感を残した形跡はない。ただ、指が翼を広げて滑空する・ロケットパンチが噴射・死者の蘇生等の超人的な出来事に対して、コマ撮りのみではまず不可能な演出が多い。そのため、コマ撮りの映像がただ好きな方にはお勧めできない。

 序盤で対戦相手同士で口喧嘩を交わした後、徐々に身体が切断されていき、血と臓物の塊に見えるまで戦いを続ける。戦闘の手順も出演有名人毎に丁寧に変更されており、実写なら試合にもならない組み分け方がなされている。拳と拳がぶつかり合うリングなのに、格闘技には専門外の有名人に限ってより悲惨になる。カリカチュア的な身体への誇張表現と、大袈裟でチープな残虐表現によって、観客に現実味のある暴力でなく"滑稽な出来事"のみを伝えようとしているのは素晴らしい。

 尚、参加したセレブリティの残虐性を低い順に並べるとこうなる。

 格闘家<ミュージシャン<コメディアン<女性

 有名人の人形キャラはお世辞にも似ているとは言いづらい。実況役が説明してやっと気づくぐらいの再現度である。『ロボットチキン』鑑賞済みだったせいか、どうしてもその辺りが気になってしまった。

 そして、出演するセレブリティは錚々たる面子。

マリリン・マンソンをワンパンでK.Oさせた
トゥイギー・ラミレズの図
 マイケル・ジャクソン、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、キッド・ロック、デイヴ・トーマス、マドンナ、カーネル・サンダース、リトル・リチャード、リル・キム、ブリトニー・スピアーズ、ロジー・オドネル、ロブ・ゾンビ、オジー・オズボーン、ヒラリー・クリントン、ジェニファー・ロペス、ビッグフット、ネッシー....と人種どころか種族も問わない幅広いメンバーが集っている。





クリス・ロックVSドウェイン・ジョンソン MTV公式


 米国内の有名人に少しでも関心があれば、見て損はない一作。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気の記事