私とカートゥーンと鈴と。: MTVを活気づける変なアニメの集合体 Cartoon Sushi

MTVを活気づける変なアニメの集合体 Cartoon Sushi

カートゥーン・スシ Cartoon Sushi
(加主導) 1997-98 (TV14) 50/100
企画 ダニー・アントヌッチ、キース・アルコーン
監督 ダニー・アントヌッチ、キース・アルコーン、マイク・デ・セブ
出演 ジョン・A・デイビス、マイク・デ・セブ
音楽 キース・アルコーン、パトリック・ケアード、マイク・デ・セブ

 90年代のMTVほど奇妙なアニメーションに積極的だった放送局はない。特に1997年から98年はその絶頂期に差し掛かっていたといえる。MTVで人気だったアニメーションのほとんどが放映中か、その人気が衰えていない状態でティーンエイジ/青年向け放送局を確固たる地位にのし上がていたからだ。

 今回はそんな時期のMTVを彩った狂気に満ちた番組の紹介。

 米国の有料放送局でアニメの短編集と聞くと、『デクスターズラボ』や『パワーパフガールズ』を輩出した『ホワット・ア・カートゥーン』のような新人発掘番組を連想する方もいるだろうが、本作は違う。

 『エドエッドエディ』のクリエイターのダニー・アントヌッチが監修した『カートゥーンスシ』は、とにかく、超現実的、実験的、グロテスクで、奇妙奇天烈で、暗く、ユーモア溢れる"カートゥーン"であれば、どんな作品でも受け付けてくれる番組だ。彼の生まれ故郷のカナダで不定期で開催されていた【Spike and Mike’s Sick & Twisted Festival of Animation】の血をそのまま受け継いだようなカオスの塊だった。

 番組内容も一見手描きアニメかと思えば、コマ撮り、CG、粘土、ゲーム映像の抜粋など多種多様で、ミュージックビデオか短編アニメかの区別が困難になるほど"MTV"に相応しい雰囲気を醸し出していた。また、インターネットが発展途上の時代に映画祭でしか鑑賞できない作品を手軽に視聴できる機会を与えていたのも素晴らしい。

 残念なのは、企画側の映像編集が功を奏したとは言い辛い作品もあったこと。23分程度の放映時間に収めるために、本編を分散させてちくはぐの状態になるケースが多かった。彼らが独自に創造した"アニメのごった煮"として楽しむ分にはいいが、特集された作品単体を堪能するには不適切な番組になったのは惜しい。

 個人的に気になった短編アニメ

 Untalkative Bunny
 日本では『無口なうさぎ』として有名。詳しくはこちら。

Celebrity Deathmatch
 日本でも『セレブリティ・デスマッチ』として放映。詳しくはこちら。

Sex and Violence


 ビル・プリンプトン氏の短編集。共通性のない条件で組み合わせて起こるシュールな出来事を映した作品。破壊的で不条理でグロテスクな作風は相変わらず。ただ、刺激のある映像を連続的に見せることを念頭に置く『カートゥーン・スシ』で観賞すると、いつもの衝撃が薄れていく傾向があるので注意。





 Ultracity 6060

 アメリカ国内で日本産アニメの管理を担当するU.S manga Corps(現Central Park Media)からテキトーに映像だけ貰って、脱力感満載の嘘吹替で再構成した短編アニメ集。後にアダルトスイムの番組を中心に手掛ける脚本家を中心に採用されており、良くも悪いもコメディ色の濃い台詞に書き換えられている。蛙男商会の代表作、『秘密結社鷹の爪団』のノリに近い。

 引用されたのは『I・Я・I・A ZЁIЯAM THE ANIMATION』、『ジェノサイバー 虚界の魔獣』、『機動警察パトレイバー』、『おいら宇宙の探鉱夫』の4編。

 楽屋落ちやメタフィクションが多く、深夜でもない限り失笑を買うようなネタが多数。個人的に笑えたのは、【アニメの買い付けで予算使い果たしたからこれ以上リップシンク(口の動きに応じた吹替)ができない!】というネタ。

 Dirdy Birdy
 『おくびょうなカーレッジくん』で有名なジョン.R.ディルワース氏の作風を定義づけたような短編。
 彼の以前の作品では、何の変哲も無い存在か、一瞬で恐怖を覚える化物が登場していた。そのため、視覚的衝撃が際どいだけで一線を画するものとは言い難かった。本作では、彼の過去の短編にはない感情豊かなキャラクター、常軌を逸したオーバーリアクション、下品さと儚さを両立させた癖のあるキャラクターが登場する。

 樹の上でじっと座る猫とその猫の気を惹くのに躍起になった小鳥の戯れを描いた短編作品。『ぼのぼの』に登場するショーねえちゃんとスナドリネコさんのいいとこ取りをしたような体格、群青色のボディに紫色のゲジマユと黄色い目を持つフィギュリナ。殴られたような緑色の皮膚に挟まれた左目を持ち、一目惚れした相手に繰り返し肌を脱いで尻を見せつけるパーディ。

 デザインの毒々しさや下品な表現の数々は決して一般的ではないものの、その下品さと本編鑑賞後に感じられるキャラクターの可愛さは唯一無二。笑顔になって口を開くと不揃いの歯が剥き出しになるところや、何の前触れもなく登場する道具や衣装、終盤の顔の見せ合う場面は『おくびょうなカーレッジくん』に通ずる所がある。

 鳥と猫の喜怒哀楽の変化は奇想天外で、ほぼ固定化された舞台でも見飽きない工夫がなされているのが素晴らしい。

 なお『Cartoon Sushi』では本編を前後編に分離する形で放映。

 日本での上映履歴はないものの、現在では作者本人がYOUTUBEに投稿しているので、ぜひご覧あれ。



深夜のテンションで見るにはうってつけの一作。

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気の記事