私とカートゥーンと鈴と。: "多様性のある低俗"の寄せ集め。『ファミリー・ガイ』Family Guy

"多様性のある低俗"の寄せ集め。『ファミリー・ガイ』Family Guy

ファミリー・ガイ Family Guy
(米) (TV-PG,TV14) 1999-2003,2005- 45/100
原案・製作総指揮 セス・マクファーレン
制作 セス・マクファーレン、デイビッド・ザッカーマン
テーマ曲作曲 ウォルター・マーフィー
音楽 ロン・ジョーンズ、ウォルター・マーフィー
企画 シャノン・スミス、ジュリアス・シャーペ、カラ・ヴァロウ、スティーブ・マーメル (2011)、シェリー・ガンター (1999–2003)
編集 マイク・エリアス
配給 20世紀テレビジョン
放映 アダルトスイム、FOXチャンネル
17シーズン 現在313話 継続中

 『ザ・シンプソンズ』・『サウスパーク』・『ファミリーガイ』。ネットの掲示板で話題を振ればびっくりするほど喧嘩腰になる方が多い海外アニメ3選。テレビの番組毎に視聴制限が敷かれるアメリカとは違い、日本では有料放送局でもない限り制定されておらず、映画番組以外は成人向けかそれ以外の括りしか存在しない。その為、海外のテレビ番組に対してレーティングの知識がないまま、内容の過激さを語る方が日本には余りにも多い。それが原因で、対象者が異なる作品を同じ土俵に並べていることにさえ気づかない。私にはそれが我慢ならない。

 TV-PGメイン、稀にTV-14の指定を受けるシンプソンズやファミリーガイ、TV-MAに制限され、際どく、過激に、淫猥な方向へと舵を切るサウスパーク。これらの作品を大人だけの嗜好品、または全年齢向けと一纏めにして、海外アニメは過激か幼稚だと指摘する方々に数え切れないほど私は遭遇してきた。

 今回はそんな作品の紹介。

 『ファミリー・ガイ』には漫画や小説等の他媒体での原作は存在しない。ただ、パイロット版は2種類存在する。1つ目は原作者が学生時代に製作した卒業制作の短編アニメ "The Life of Larry"(1995)①


 『トッド・マクファーレンのスポーン』『Down and Dirty Duck』の冒頭部分を彷彿とさせる妙に畏まった解説役のナレーションから本作は始まる。テレビ番組や映画・有名人を徹底的にこき下ろしたジョークや会話はこの頃から健在の模様。自宅でも映画館でも教会でも不満をさり気なく爆発させている辺りは、ピーターの愚痴こぼしと殆ど変わりない。

 基本的な登場人物たちは現在のファミリーガイとあまり違わない。ラリー・カミングスという名の中年男性と冷笑主義的な犬・スティーブ、ラリーの妻ロイス、肥満体のティーンエイジャーのミルトなど、この時点で『ファミリー・ガイ』の基礎的な部分はほぼ完成していた。

 2つ目は『ラリーとスティーブ』(1997)"Larry and Steve"

 こちらは日本でも放映済みで、開局間もないカートゥーンネットワークで観たことがある方もいるかもしれない。(投稿主は吹替版未視聴)


 カートゥーン・ネットワークの新人発掘番組『ホワット・ア・カートゥーン』向けに製作した短編で、制作スタッフには後にニコロデオンの『フェアリーペアレンツ』『ダニーファントム』で名を馳せるブッチ・ハートマンや、『イン・ヤン・ヨー』のスティーブ・マーメルが脚本担当として参加している。

 シュールなギャグや裏がありな会話の毒々しさは相変わらずだが、"The Life of Larry"とは打って変わって視覚的な笑いを残す傾向に走っていった。『ファミリーガイ』で特徴的な大家族に焦点を当てたものでなく、アニメでは一種のお決まりネタと化した【賢いペットとお馬鹿な飼い主が共同生活をする】という設定に大幅に変更されている。映画ネタも一応無い訳ではないが、それほどマニアックなネタでもなく一般常識の範疇に収まっている。

 また、スランプスティックの趣向もハンナ・バーベラが得意とする演出に覆い尽くされている。ハンナ・バーベラの血を直接継承したスタジオが企画した故に仕方ないことなのだが、現在の『ファミリーガイ』とは程遠い別作品となってしまった。もし、90年代当時のアメリカの少年少女達に『ラリーとスティーブ』が好評だったら、大人向けカートゥーンではなく、"90年代を代表するCN作品の一つとして" 歴史に刻まれたかもしれない。

 こうした度重なる試行錯誤の末、フォックスチャンネルでの放映権を獲得したのが、『ファミリー・ガイ』だ。

結論から言うと、ファミリーガイは大嫌いだ。

 滑稽でど直球のジョークを成立させるために、最低限のアニメ映像が配置されているようにしか感じないのだ。特にシーズン1~3の低予算ぶりは凄まじい。『サウスパーク』が過激な暴力と性と言動を交えて教訓を語ることを得意とし、『ザ・シンプソンズ』が四面楚歌の社会風刺家族コメディなら、『ファミリー・ガイ』は風刺や皮肉を発言させるために仕方なくアニメが追随しているように映るのだ。

 アメリカ文化に浸れば浸るほど夢中になる作品はこれだけではないが、ファミリーガイの場合最初からネタの傾向が"回りくどい"のだ。大人向けのカートゥーンでいきなり低俗さや政治家・セレブ批判を軸にするのは自殺行為に等しい。大人を中心にしたシットコムアニメで性風俗や際どいネタを中心に見世物とすると、それ以外が疎かになる傾向が非常に強いからだ。

  会話劇の滑稽さを積極的にアピールした『ドクターカッツ』や『ホームムービーズ』、『12oz.mouse』、『アーチャー』とも異なり、キャラ造形が比較的単純でかつキャラ単体の動きも何かとトロくさい。ただ、ギャグそのものはキレがあり、徹底的にどす黒く、低俗極まりないのが最高だ。『パラダイス警察』の方向性と酷似しているものの、本作はその先駆者のためこちらのほうが斬新に映る。まあ、番組全体としてのまとまりはあまりないが。

 ネタの一つ一つが最高に面白いだけということは、『ルーニー・テューンズ』が散々繰り返してきた滑稽なギャグの応酬から昇格できていない事になる。本作は一話30分の番組であり、7分程度で完結する物語ではない。

 最近のシーズンでは全体的な物語の中に極力自然な形で過激な風刺や有名人ネタを投下しているものの、『ザ・シンプソンズ』の暗黒期(シーズン11~15)でやったことの二番煎じに感じてしまう。

余談
 最近、youtubeで本作の日本語の字幕(fansub)動画が大量に投稿されているらしいけど.... 20世◯フォ◯クスさんは一斉削除して公式有料配信とかしないの?

本編の抜粋なら面白いんだけどなあ...

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