私とカートゥーンと鈴と。: 怖くて笑い、面白く震えるアニメ。『ビートルジュース』 Beetlejuice TAS

怖くて笑い、面白く震えるアニメ。『ビートルジュース』 Beetlejuice TAS

ビートルジュース アニメ版
Beetlejuice : The Animated Series
1989-1991 (米) 70/100
原作 『ビートルジュース』 マイケル・マクダウェル、ウォーレン・スカーレン
製作総指揮 ティム・バートン、デビット・ゲフェン
監督 ロビン・バッド
出演 スティーブン・ウィメッテ、アリソン・コート、エリザベス・ハンナ
テーマ曲作曲 ダニー・エルフマン
音楽 トム・スチェスニアック
制作スタジオ ネルバナ、ゲフェン・フィルム・カンパニー、ワーナー・ブラザース・テレビジョン、ティム・バートン・プロダクション

 映画原作のテレビ用アニメーションは、基本的に映画のファンを念頭に置いて、それに追随する形で新規の視聴者が増やすのが一般的だった。メディアミックスでいくら多角化戦略を行おうと、肝心のアニメーションは新参者を置いてけぼりにするものが非常に多かった。

 Netflixで配信中の『アニメ ゴースト・バスターズ』こと "The REAL Ghostbusters"(1986-1991)でも、原作映画のファンを納得させる仕上がりなだけで、【映画は嫌いだけど、アニメは大好き】という視聴者を生み出すことが殆ど無かった。こちらのアニメ版は流行語やモンスター達が盛り沢山で、見どころ満載で、決してお手軽品とは一線を画する名作である。ただ、映画原作のアニメはあくまで【本家に興味を引かせるための広告】で、その部分から抜け出した異色作は極めて少なかった。

 そんな中で、映画の雰囲気を継承しつつ全くの別物として製作されたのが、このアニメ版『ビートルジュース』である。

原作映画

 原作は今じゃ落ち目のティム・バートン監督の才能が遺憾なく発揮されたホラーコメディ。新居を購入したての新婚さんが突然事故死。幽霊となった若夫婦はそのまま我が家に暮らすつもりが、見知らぬ人間達の住処になってしまう。そんなワガママ一家を追い出そうと、霊界から人間退治のプロを召喚するが.... といった具合で幽霊が暴れ回る一部始終を描いた映画である。
 ティム・バートン監督の映画は基本的に社会の除け者にスポットを当てて、人間の内面性をゴシックホラーや不確かでも身の毛もよだつ悪夢的な要素を混同させて描写する傾向が強い。ところが『バットマン』や『シザーハンズ』、『ピーウィーの大冒険』と比較すると、この映画には教訓らしい教訓がない。

 ビートルジュースと呼ばれる人間退治の幽霊"バイオエキソシスト"は、人を恐怖のどん底へと突き落とすことを生業としているが、決して善人でも悪人でもない。ただ本能に従って生きるお調子者だ。血縁関係の薄い一人娘のリディアとその両親の親子関係も、幽霊騒動に立ち会っただけで、謝罪や家族一丸での協力による家族関係が修復された場面はない。精々、映画では後日談を映しただけだ。アニメ的表現もギョロ目に、道化師、生首飛び出しゃデロンデロンと..... 兎に角、不気味で、おどろおどろしくて、おっかないのだ。端的に言えば、完全に狂っているだけの映画だ。でも、そこが面白い。


オープニング


 空高く光る冬の星屑に一際目立つ、冬の大三角。シリウス、プロキオン、そしてペテルギウス"Betelgeuse"。そんなオリオン座の名前をうまい具合に読み間違えたのがビートルジュース"Beatlejuice"の語源である。ビートルジュースの召喚方法、オカルトに陶酔する一人娘のリディアとその両親、原作の舞台を基本設定としたアニメ版ビートルジュース(以下BTAS)は、そんなビートルジュースとリディアに焦点を当てたホラーコメディアニメである。

 マイケル・キートンが演じたビートルジュースの奇抜さはアニメでも健在。というか、"アニメ"という表現形態を存分に活かしている。ティム・バートンも名義だけでなく、アニメ製作に本格的に関わっており、その影響はOPに表れている。骸骨、奇形児、遊園地の小道具、死刑執行人、大砲、ジェットコースター.... 文字通りの驚天動地の展開を見せるオープニング映像は、本編の前座にしては余りにも豪華である。勿論、本編の方が退屈ということでは決してない。

 BTASでのビートルジュースの驚かせ方は、不意打ちを喰らわせるような心臓に悪いものではなく、人を励ます類のもので、実写映画ほどトラウマに陥ることはないのでご安心を。着脱可能な首や、モノクロの縞模様が不気味な収縮自在の図体。ガラガラヘビに匹敵する獲物の誘い方も、老若男女が素直に笑えるものとなっている。....ただし、メタフィクション関連は例外だけど。BTASでのビートルジュースは、以前紹介した『フリーカゾイド』『ラマになった王様』のクスコ、アメコミのアンチヒーローの一人『デッドプール』等の系譜に属するキャラクターで、平気でテレビの前の視聴者に、頻繁に問いかけることが非常に多い。しかも【おカネを子供から要求する】だとか【画面越しの子供達に解決策を問う】とやりたい放題。原作映画で見せた小悪党ぶりが別次元で展開されることで、釘付けになってしまうのだ。彼の性格一点に絞れば、本作は実写映画以上にハッチャケている。 なお、実写映画で可愛いと評判だったリディアの活躍にはあまりしっくりとは来なかった。

 日本国内では、ビートルジュース20周年記念ブルーレイの特典の一つとして三話だけ収録されている。もしそれが物足りないと感じた方は、北米版コンプリートボックスの購入がお勧め。
 

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