私とカートゥーンと鈴と。: マスク・アニメーション The Mask:TAS

マスク・アニメーション The Mask:TAS

マスク・アニメーション
The Mask : the Animated Series
原案 『The Mask』(コミック)ジョン・アルカディ、ダグ・マーンク、マイク・リチャードソン
原作 『マスク』(映画) 監督 チャールズ・ラッセル
企画 デュアン・キャピッツィ
監督 ラッセル・キャラブリーズ
1995~1997 三シーズン 全44話

オープニング


 1994年に公開されたコメディ映画『マスク』。ポリゴンチックなCGよりも不気味なジム・キャリー、漫画から飛び出て来たようなオーバーリアクション、冴えない銀行員と欲望むき出しの野獣のような主人公の二面性... など多様な見所のある作品だった。そんな訳で、ある種の超人的な才能をひけらかした彼の後釜になるのはそう容易いことではない。

 実際、10年後に公開された正統続編(?)はCG技術の向上を除けば、ほとんどの場面の出来が前作とは遠く及ばない。"漫画らしさ"を履き違えた残念な映画だった。幸いにも、映画の便乗商法よる目論見でスタートした今回紹介する『マスク・アニメーション』は、ジム・キャリーに負けず劣らずの演技を見せてくれた。

 本作のモデルは実写映画の方だが、源流となるのはダークホースコミックスの同名コミック『The MASK』である。

 本家の物語は修正が効かない絶句必死のゴア描写ばかりで、映画版とは似ても似つかない。原作ではスタンリー・イプキスはマスクの魔力の暴走により殺害され、ものの数ページで本編から退場する。そして、仮面をつけた恋人や刑事、少女など様々な状況を用意し、「その舞台に"もし"マスクがあったら...?」という前提で無慈悲かつ残虐な物語が繰り広げられる。映画序盤のコン○ームの風船をトミーガンに魔改造する場面や、何の変哲も無い乗用車を整備工を退ける場面はコミックにも存在する。しかし、『マスク』の漫画的表現は極力コメディに転化させた映画に対し、コミックでは徹底的に残虐性を高めるだけの所業となっている。

 北欧神話に伝わるロキが産み出したマスクは、一度履いたら胴体を切断するまで永遠に離れない【赤い靴】。それの如く強力な拘束で相手を地獄へ恐怖へと引き摺り込む悪魔のような人間に変貌させる恐ろしい仮面なのだ。人格が反映される設定を全年齢向けに落とし込んだチャック・ラッセル監督は偉大である。

 アニメ版ではイプキスの後日談としてキャメロン・ディアス扮するティナを除き、設定を全て継承している。その追加要素として奇想天外な悪役を数話ごとに登場する。

 80~90年代に登場した映画原作のアニメ『リアル・ゴーストバスターズ』、『ビートルジュース』、『ロボコップ』と同様、映画に興味のない、お約束染みた子供向けに飽きた方には、本作をわざわざ鑑賞し直す必要はない。蜂男やレプラコーン、頭のみの首領など、特撮怪人を彷彿とさせる悪漢を倒すという典型的な筋書きが定着しており、特別刺激的な物語なわけではない。

ただし、主人公のマスクの"個性的な"活躍に興味がある方なら一見の価値はある。飛躍的に作画と脚本が洗練された90年代のアメリカンカートゥーンとしては平均的な出来栄え。だが、マスクの演技一点に絞れば、ずば抜けて出来が良いのだ。

 タイニー・トゥーンズやアニマニアックス等の海外の人気テレビアニメの主演を立て続けに担当したロブ・ポールセン、日本語版では実写版でも大活躍した山寺宏一氏が主人公のスタンリー・イプキスを演じている。特に、日本語版の山寺宏一さんの7色の声色はもう刺激的。お調子者から発せられるマシンガントークでも、ここまで威勢のいい声は彼じゃないと堪能できない。

 カートゥーンの大胆かつ素っ頓狂な動作を再現した実写映画のアニメ版。山寺宏一さんファンの方なら見て損はなしの一作。

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