私とカートゥーンと鈴と。: 40年代のディズニー工房へようこそ。『リラクタント・ドラゴン』The Reluctant Dragon

40年代のディズニー工房へようこそ。『リラクタント・ドラゴン』The Reluctant Dragon

リラクタント・ドラゴン The Reluctant Dragon
(米) 1941 50/100

監督 (実写)アルフレッド・L・ワーカー
(アニメ)アブ・アイワークス、ハミルトン・ラスク、ジャック・カッティング、ジャック・キニー
脚本 テッド・シアーズ、アードマン・ペナー、ウィリアム・コトレル
製作 ウォルト・ディズニー
音楽 フランク・チャーチル、ラリー・モーリー
配給 RKO Radio Pictures

本編一部


 これはドキュメンタリーでも、アニメでも、実写の寸劇でもない。全てにおいてどっちつかずな映画である。

 ディズニー社が経営難に陥っていた1941年。なんとかしてアニメーション映画を創ろうと模索していたことが如実に判る作品である。写実性を追求したディズニー式の長編アニメーションは資金・人材。時間ともに莫大で、そう頻繁に制作できるものではなかった。

 実写との合成や、短編を複合させるオムニバスでは娯楽作品の形式に纏まっているが、この映画は一般的な映画の枠組みからは逸脱している。

 当時実在したコラムニスト兼俳優のロバート・ベンチュリー。ケネス・グレアム原作の『おひとよしのりゅう』の劇場用作品の脚本を、彼がウォルト・ディズニーに売り込む過程が内容である。41年当時のディズニー社内を映すアニメ制作の裏側は、"ディズニーの魔法"を直接観覧するだけでも非常に興味の湧くだろう。

 10m近くに及ぶ大規模なマルチプレーン・カメラや超人的演技で観客を魅了したドナルドダックの初代声優のクラレンス・ナッシュの実演、アニメーターの育成講座でのバンビの模写など、一度に堪能できるのは素晴らしい。

 ベンチュリーさんが警備員の目を盗んでディズニー社内を駆け回る姿は微笑ましい。彫刻家に彼自身のモデルを作成してもらったり、クラレンス・ナッシュ本人からアヒル声のレクチャーをする場面。どこかとぼけてる彼を積極的に後押しする献身的な彼の奥さんとの掛け合いは、ディズニー社内の映像の箸休めとして効果的だった。

 題名となる『リラクタント・ドラゴン』①はドラゴンの形相を全面的に否定したようなおちゃらけた緑色の龍である。日本語版では三ツ矢雄二氏の演技も相まって、物凄く甘えん坊な生き物に映る。一人孤独に紅茶を楽しむドラゴンはひたすら可愛い。ドン・ブルース監督の『ピートとドラゴン』に登場する姿とは大違い。エリオットのように不格好でどこか間抜けなデザインでもないのが素晴らしい。

 本筋がもはやおまけとして霞むほど、ディズニーの舞台裏が魅力的なのが玉に瑕だが、ディズニーに少しでも興味がある方なら是非見てほしい。

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