私とカートゥーンと鈴と。: ウォレスとグルミット 危機一髪! A Close Shave

ウォレスとグルミット 危機一髪! A Close Shave

ウォレスとグルミット 危機一髪!
A Close Shave

監督 ニック・パーク
企画 カーラ・シェリー、マイケル・ローズ
脚本 ボブ・ベイカー、ニック・パーク
出演 ピーター・サリス、アンネ・レイド
音楽 ジュリアン・ノット
撮影 デイブ・アレックス・リデット
編集 ヘレン・ガラッド
1995 (英)

 2作目の多大なる成功による余裕が感じられる『ウォレスとグルミット』シリーズ第3作目。後の『野菜畑で大ピンチ!』『ベーカリー街の悪夢』の規模を想像すると、この辺りが丁度いいと実感できる一作。

本編冒頭(公式)

あらすじ

  •  窓拭きサービスを始めた発明家・ウォレスと飼い犬・グルミット。毛糸店の女主人ウェンドレンから仕事の依頼が入る。ウォレスは彼女に惚れてしまうが、その一方でグルミットは近頃頻発していた羊泥棒の犯人が彼女の飼い犬・プレストンだと知る。グルミットは事実を探求する内に、逆に犯人に濡れ衣を着せられてしまい...

 萩本欽一氏のウォレスにお馴染みの方なら、過去に一度は『ひつじのショーン』という名前に違和感を覚えたはず。彼のバージョンの吹き替えにおいて、"プルプル"と名付けられた羊がショーンと同一動物だと即座に理解した方がどれほどいたのだろうか。NHKではその言及が一切ないのだから驚きだ。

 『チーズ・ホリデー』や『ペンギンに気をつけろ!』と比較すると、本作はかなり大規模になっている。とは言うもののドリームワークスとの提携作品である『野菜畑で大ピンチ!』のように大量の人間は登場しない。

 対照的に羊は大勢出没する。ニック・パーク監督は前作で大量のペンギンを登場させる予定だったものの、時間と予算の関係から実現できずにいた。本作では余裕ぶりを見せつけるかのように登場する。ウォレスとウェンズレーとの馴れ初めを羊の大移動で唐突に妨害する時も、グルミットを仲間総出で救出するときも、プレストンとの追跡にも、どこにでも付きまとう。大道芸人顔負けで寡黙な羊たちの活躍は微笑ましくも大胆だ。プルプル以外の羊は相手を凝視するような顔立ちなのに、「突然、何か面白いことを仕出かすのでは?」という気持ちで好奇心に煽られながら鑑賞できるのは素晴らしい。

 なお、ショーン以外は"数多にいる羊"なだけで『ひつじのショーン』とは一切関係ないので注意。それでも、『ひつじのショーン』に馴染んだ視聴者なら誰がどの羊なのかを探してしまいそうだ。

 本作の悪役を務めるのは強面なワンちゃんことプレストン。グルミットと違い、体格はたくましく、鼻は小さく、口に牙が生えている。そして、彼と同様に言葉は一切交わさない。彼の姿は警備員が放つような威圧感が目立つ。ただ終盤で本性を現すと途端にちっぽけに映るのが何とも言えない。なお、前作のペンギン君はグルミットが投獄された部屋に収監されていたらしい。本編中にはそこ痕跡がチラリと映るので探してみるのもいいかも。

 後の代名詞となる自動車での外出する場面や全自動洗濯機、自動織物機、陸空両用のグルミット専用機など、小道具も多数登場し粘土細工と見事に絡み合っている。特に暗闇の状態の中を逃走する場面の雰囲気は印象的だ。誘拐犯を必死になって追跡するサスペンスと、その対抗策に実弾とは程遠いものをぶち撒けるというちょっとしたコメディ色と両立させているのも良い。

 短編なのに長編のような充実感を味わえるクレイアニメの大傑作。

 

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