私とカートゥーンと鈴と。: おにいさんはやけくそ。『ピーウィーのプレイハウス』Peewee's Playhouse

おにいさんはやけくそ。『ピーウィーのプレイハウス』Peewee's Playhouse

ピーウィーのプレイハウス
Peewee's Playhouse

製作 ポール・ルーベンス
主演 ポール・ルーベンス、ローレンス・フィッシュバーン、リン・マリー・スチュワート、フィル・ハートマン、S・エパサ・マーカーソン、ジョン・パラゴン
1986-1990(米)(TV "G")

 『グラビティフォールズ』、『アドベンチャータイム』、『レギュラーSHOW』など2010年代に放映し人気を博した作品には様々な要素が反映されている。日本の特撮やアクションアニメ、89年から放映が開始した『ザ・シンプソンズ』、幅広い年齢層に愛されるディズニー映画など、クリエイター達のルーツは十人十色で興味深い。今回はそんな中でも、名を挙げることが多い作品の一つの紹介。

オープニング


 細身で灰色のスーツに赤の蝶ネクタイを着け、子供っぽい喋り方をする変わり者。ポール・ルーベンスがカリフォルニア芸術大学の在籍時に生み出した彼は、その独特で強烈な印象を持つキャラで人気となる。スタンドアップコメディやトークショーでの活躍から数年後には、子供番組を持つこととなる。それが、『ピーウィーのプレイハウス』である。

 テレビが本格的に普及した50年代の人気番組(『ミッキーマウスクラブ』『ロッキーアンドブルウィンクル』等)のテイストを吸収しつつ、目がチラつく華美で不気味なキャラを大量に用意した本作は、子供だけでなく大人をも虜にした。

 基本的には数字や言葉を知育的に学べる内容、児童には適さない残虐性・暴力性が強いと判断される場面がない番組である。しかしその実態は、80年代のポップカルチャーの狂気が滲み出た一種のトリップのような番組である。

 本作で司会を務めるポール・ルーベンス演じるピーウィー・ハーマンは、童心を曝け出して制御不可能になったオッさんという印象が強い。裏声のままニヤニヤと微笑む姿は単純に怖い。MR.ビーンと同様に"成人年齢に達した状態での行動"としてアピールする辺りは特に悍ましい。

 また、オープニングのピーウィーはまるで旅行先の部屋で暴れまわる腕白坊主のよう。もちろん、彼は大人だからただ異様で不気味なだけだが。ティムバートンが劇場版の監督に採用されただけあって、本作には悪夢のような作風が細部にまで染み渡っている。NHKの児童向け短編で見た怖い思い出だけを抽出した映像。あらゆる物体が話しかけ、歌い出し、騒ぎ出す姿は滑稽を通し越して唖然の域に達する。気の休める瞬間はオープニング前半以外はない。

 本編での展開が急ぎ足になることはないけれど、次々と巻き起こる事件に対して平常心を保ち続けられるとは思えない。生真面目に全編を鑑賞すればトリップしたような感覚を味わえるだろう。

 勿論、教育番組としての役目も忘れていない。一つの単語を重点を置いて、それに関連する実写の寸劇やクラシックカートゥーンを放映している。その辺りは実に精密さだ。コマ撮りやローレンス・フィッシュバーン等の強い存在感を持つイベントがあろうとも、セサミストリートの如く英単語を極めて自然に解説している。

 また、幼児向け番組と言われる作品を適当にリストアップしていけば、要素自体は意外となんてことはないことに気づくであろう。適当に探せば類似する物体は見つかるだろうし、常軌を逸することなんて子供向け番組じゃあ日常茶飯事だ。また仮に影響を受けても、派手な外見はそうそう真似られないし、不謹慎な行動は本編中にはない。

 未就学児や小学生向けの番組だが、子育てに四苦八苦する親御さんの疲労と情緒不安定な赤ん坊の底知れぬ興奮ぶりが一度に味わえる強烈な一作だ。なお、本作を配信中のネットフリックスにはオープニングをバーを動かさずに自動で飛ばす機能が備わってる筈なのだが、本作にはない。 つまりオープニングも【本編を堪能する上で、重要な場面だということ】を示している。

Netflixで好評配信中。

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気の記事