私とカートゥーンと鈴と。: Penguins Behind Bars 塀の中のペンギン達

Penguins Behind Bars 塀の中のペンギン達

Penguins Behind Bars
塀の中のペンギン達
企画・監督 ジャネット・パールマン
脚本 デレク・ラム、ジャネット・パールマン
音楽 デイビット・ゴセージ
2003年 24分 TV-14

予告編


あらすじ

  •  ドリス・フェアフェザーは夫のチャールズ・アバロニーに冤罪を着せられ、窃盗罪として10年の刑を宣告される。獄中で彼女は投獄の常習犯マダム・ミリーや挙動不審な精神異常者と仲を深めていく。ところが、刑務所を仕切る所長や裏で密約を結ぶ囚人から理不尽極まりないイジメを受けるようになった。激変する状況の中で、彼女は徐々にチャールズへの復讐心を燃やすのだった...

 原作は1989年に出版された同名のグラフィックノベル。作者のジャネット・パールマンさんはペンギンを題材に年齢を問わない作品を発表しており、『ペンギン・シンデレラ』はその代表例だ。古典的童話の人物をペンギンに変更しており、顔の判別が困難なのが特徴的だった。本来であれば殺気を帯びた状況でも、シュールな場面構成で思わず笑ってしまう。また、斉藤洋さんの腑抜けた調子の和訳文も完璧だった。



 そんな児童向け絵本とは対照的に、こちらは子供お断りの成人向け。接点のない設定と可愛らしいデザインで、何処と無く戯画的な表現と錯覚しそうだが、そんなことはない。

 物語の展開や台詞は全体的に感傷的で、馬鹿笑いする場面は皆無に等しい。不条理でも剽軽でもなくアダルトスイム的でない。乾いた空気が漂い、閉塞的で将来性のない世界観が延々と続く。もし憂鬱気味なら、間違っても本作の鑑賞はやめたほうがいい。開始数分で気が滅入るからだ。オープニングのジャズミュージックは夜の繁華街をずぶ濡れで徘徊した時の寂しさを感じさせる。

 主人公のドリスは序盤馬鹿正直で人を疑わない性格である。それが災いし、何度も何度も不遇な目の合う。彼女は小公女セーラやアタックNo.1の主人公とタメを張れるほど過酷な体験をする。それらの場面には非現実的な演出や漫画的な抽象化を施した映像はなく、陰惨な雰囲気を維持しているだけである。

 馬鹿騒ぎを十八番にするアダルトカートゥーンならこんなことはまずない。本作には"主人公の境遇"を集中的に描写する余り、緩和剤となる要素がないのだ。視聴制限のない表現の自由を獲得した時間帯だとしても、悲観的で残酷さが目立つ展開が続くのは大変珍しい。

 こういった独自路線を貫き通す姿勢には個人的に好感が持てた。ただアダルトスイムという番組枠には明らかに不適当に思えた。実際、視聴者や業界関係者からの評判はイマイチであったらしく、現在に至るまで再放映はない。『アニマルズ』や『スポーン』、『クラークス』を提供したHBO辺りならシリーズ化も果たせたかもしれないが...

 コメディでもシットコムとも違う、メロドラマと復讐劇を融合させた異色のカートゥーン。

 アダルトスイム公式サイトで配信中。

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気の記事