私とカートゥーンと鈴と。: 半島で行きたい 반도에 살어리랏다

半島で行きたい 반도에 살어리랏다

半島で行きたい 演技派おやじの奮闘記
반도에 살어리랏다
監督 イ・ヨンソン
脚本 イ・ヨンソン
出演 イ・スンヘン、イ・ヨンウ、オ・ガビン
撮影 イ・ジソン
編集 イ・ヨンソン
音楽 ヤン・グァンソプ
2017年 85分 韓国

予告編


あらすじ

  •  46歳の中年男性オ・ジュンコウ。非常勤講師として演技の教鞭を執るものの、家庭環境は曇り気味で、充実した人生には遠く及ばなかった。ある時大学教授のスキャンダルに出食わし、そのハプニングの仲裁をきっかけに学院教授の職を約束された。しかし、家族内での度重なる散財を前に彼の人生は大きく揺れ動くのだった...
500万円程度の非常に低い制作費で完成された異色の人情コメディ。非常に困窮した状態でも奮闘して製作した本作は、その形跡を随所に残しつつ、二つの転機に動揺する中年のジレンマを突飛なユーモアで包み込んでいた。

 題名にもある"演技派おやじ"という表現はまさに言い得て妙で、俳優稼業への夢は意外と時期尚早に諦めてしまうのだ。鑑賞後には、演技指導の職に従事する中年とはいえ、そんな呼び名では最初から夢に破れた男というレッテルが貼られているようだった。安定した生活か晴れ舞台での充実した仕事。その選択による葛藤に時間を割くのかと思ったが、これには不意を突かれた。

 講師の設定が見事に活用した中盤のトリックの紐解きや、演技のプロによる本気の懇願に対しての女性との一悶着など、日常生活に関連した笑いもある一方で、手に汗握るバイクチェイスなどもあり退屈することはなかった。主人公に降りかかるトラブルは生死に関わる問題ではない。しかし、最後の灯火とばかりに夢を追う中年の姿は素直に逞しいと感じさせてくれた。

 修正済みとは言えかなり不埒な場面もある。その原因となる人物は倫理的にアウトな行為を何度か繰り返す。しかし、主人公の将来を握る彼の上司である為、嫌々ながらも彼の尊厳を厳守しなければならないのだ。いくらフィクションとはいえ、性的暴行を行使した男を野放しにすれば批判を受けかねない。が、この映画では納得のゆく着地点を用意していた。

 事前知識や制作秘話を知らずとも、この映画の予算の少なさは悟れるだろう。主人公の喜怒哀楽が激しく移り変わる際に、その過程を振動や暗転などで演出するパターンが多いのだ。これらの演出はおじさんの哀愁を醸すのに一役買っていた。

 例え理想的な結果でなくても、信念を貫く重要性を説いてくれる一作。

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