私とカートゥーンと鈴と。: 快適な生活 ~アメリカ編~ Creature Comforts America

快適な生活 ~アメリカ編~ Creature Comforts America

快適な生活 ~アメリカ編~ Creature Comforts America
製作総指揮 キット・ボス、マイルズ・バロー、ピーター・マクヒュー、デヴィッド・スプロクストン、ピーター・ロード、ニック・パーク
企画 ケニー・ミカ、ガレス・オーウェン
編集・構想 チャド・カーター、ジューン・ダイアン・ラファエル、ケイジー・ウィルソン
脚本 キット・ボス、チャド・カーター、ジューン・ダイアン・ラファエル、マイケル・ドーガン、ベン・スタウト、ケイジー・ウィルソン
監督 デイビッド・オズマンド, メルリン・クロッシンガム
2007-2008 英米合作 3シーズン 1話約25分/三本

本編一部

 子供向けの無難なアニメに頻繁に登場するのと言えば動物たち。野性味溢れる彼らの原型から崩れた可愛らしい擬人化された姿を描いたものが大多数を占める。アードマン・アニメーションズ制作の『快適な生活』"Creature Comforts"はそんな条件下にありながら、野心的でいて職人気質な彼らの才能が遺憾なく発揮された異色のアニメーションだった。

 英国全国各地に取材班を派遣し、世知辛い世の中で生きる人々との何気ない対談を録画する。その録音データから抽出された声から相応しい動物を探す。候補に選出された動物たちは、アードマンの十八番であるリップ・シンクを全編に採用することで完成する。

 一見堅苦しく、カメラも微動だにしない。そして、全体的には物静かな雰囲気を保っている。画面に登場する動物たちは実にキビキビと動き、問いかけと返答には常にユーモアがある。取材中の動物たちの背景や地面を凝視すると、本編そっちのけで遊ぶ動物たちがいることがわかる。無言のままのペンギンや虫達は個人的にメインキャラよりも可愛らしいのだ。

 そんな快適な生活は二シーズン英国で放映され、好評のうちに番組は終焉を迎えた。

 その数年後に放映されたのが、今回紹介する『快適な生活』~アメリカ編~である。当時のアメリカ合衆国ではcbsや動物専門チャンネルのアニマルプラネットで放映されていた。新聞記事の批評でも観客の評判も好評であったらしく、新作の需要が確実にあったらしい。そんな要望に応えた形で実現したのがアメリカ編なのだ。

 イギリス人のユーモアとアメリカ人のユーモアは水と油の如く相反する。それ故に、ジョークや会話は音楽ありきのコメディを嗜みむ欧米人が英国情緒に富んだ本家を、どう再構築するか私は興味が湧いてた。

 本家では特別意識されいなかった山場や締めに納得のいくオチが用意されていた。動物の本音や戯言を、自分にも該当する話題として聞き入ることがあった。動物の心理を代弁する立役者のような存在感があった。ところがアメリカ編では冒頭でアメリカ国内の大衆からの協力を得たことを強調している。これがどうにも他人事にしか感じられなくなるのだ。

 全体的には本家の作風を継承しており、原作崩壊に等しい場面は殆ど無い。但し、芸能人やコメディアンが要望する味付けが少々鼻につく。例えば駄洒落。映画業界で本職の方を採用した訳でもないのに、台詞の中にはどうしようもない一発ネタで笑いを掠め取ろうと模索する場面も見られたのは少々残念だった。

 背景や会話する動物以外が行う舞台裏での小細工も本家に負けず劣らず面白い。但し、そのユーモアはあくまでもアードマン譲りなだけ。

 【米国に住む動物たち】でなく【動物の革を纏うアメリカ人】が出演するアニメに成り下がった惜しい作品。

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