私とカートゥーンと鈴と。: スターウォーズ クリスマス特番 Starwars Holiday Special

スターウォーズ クリスマス特番 Starwars Holiday Special

スターウォーズ クリスマス特番 Starwars Holiday Special
出演 ハリソン・フォード、マーク・ハミル等本家SWのキャスト達
制作スタジオ ネルバナ
1978 (加) 9分(全体は98分)

 今やディズニー資本が介入し、知名度も規模もまごう事なく国際的ブランドとなった『スターウォーズ』シリーズ。ジョージ・ルーカスが創造した宇宙活劇は世代を問わず愛されている。が、何十年間も影響を与えてきたと言うことは、その分粗が生じるのもの。今回はそんな作品の一部分の紹介。

本編一部


 製作は設立間もないアニメスタジオ・ネルバナが担当。フランス語と英語を公用語に制定するカナダは、ディズニーやワーナーが得意とする商業的アニメの影響が少なく、彼らのデザイン感覚は英仏寄りだった。本作のデザインはバンド・デシネ、特にメビウス氏の作風を踏襲したデザインに統一。商業的アニメながらも当時の流行から逸れたような世界観は独特な雰囲気を醸している。流石に背景や風景の一瞬が立派な絵画として成立するほど絢爛豪華ではないが、テレビ映画というハンデを考慮すればかなり奮闘したことが伺える。

 大まかな内容は、護符(タリスマン)を捜索中のルーク御一行がボバ・フェットと遭遇する。初めは意気投合を図るものの、徐々にボバが帝国軍と密接な関係にある事実に気づいていくというもの。

 悪代官の忠実な手下として冷静沈黙に振る舞う謎多きボバフェット。脇役の中でも一際異彩を放つ。今回は、敵味方の判別を惑わせて主人公達に接近する役目も帯びている。なお、彼はルーカス発案ではなくアニメスタジオ側の独自設定。ハンソロは縦長の馬面で、レイア姫は頬骨と顎があからさまに露出している。ルークの顔付きが無気力でレゴブロックの集合体のよう。C3POが突然左右の目から横方向に瞬く。

 そして、柔軟に体を揺するR2D2のように、ダースベーダー以外のキャラの外見はお世辞にも綺麗とは言い難い。但し、闇鍋のような実写パートの影響もあってか、それほど気にならなかった。

WHIP!,WHIP!, STIR....
このアニメ部分の特筆すべきは実写版本編が霞むほど、まともな“冒険活劇”として機能していること。20世紀フォックスに権利を剥奪されまいと躍起になったルーカスフィルムの版権維持とテレビ局側の催促の目的を兼ねた映画とはいえ、余りにもお粗末。脈絡も展開も会話の欠片も理解できない15分超のウーキー族の家族団欒、ゲスト出演した実力派俳優陣の杜撰な役回り。帝国軍の監視下で開始する電子機器の説明ビデオ。おまけに本家の俳優が総出演しているのに、何故か全員往年の貫禄がない。場面によっては一種のパロディと錯覚するほど。

 人材と資材は十分に用意された筈なのに、物語そのものはアルフの剛毛もよだつウーキー族の家族ビデオだった。

 それがアニメ部分となると、仲間達の連続した危機に首長竜似のクリーチャー。それを宥めるクールな賞金稼ぎが動き回る。緩急ある比較的無難な展開に、起承転結で完結する物語...という具合に娯楽作品としての最低限の基本要素は搭載済だ。勿論、SF世界特有の専門用語の雨嵐を考慮した上で。”致命的欠陥を抱えた本編の救済措置”と言っても過言ではない出来なのだ。

 ジョージ・ルーカス御大が自ら黒歴史と認定した曰く付きのカルト映画。幸いにも個人アップロードの動画投稿サイトを活用せずとも、このアニメ本編なら視聴方法はある。スターウォーズの完全版ブルーレイセットには、ボバフェットの出演部分のみを抽出した特典映像が収録されている。気安く購入できる代物ではないが、そもそもここまで”カルトな“映像ゆえに端から万人向けではない。

 『スターウォーズ』を網羅したい強者に勧めたい一作。

 なお、ルーカス自身もアニメ本編は肯定的に見たようで、後のイウォークやドロイドの外伝作品などもネルバナに委託している。

  

1 件のコメント:

  1. はじめまして。
    こちらに初めて書きこませていただきます。
    作品の存在は海外の方の動画で知っていたのですが、その方のレビューは実写パートがメインだったのでアニメの内容はこちらの文章で知りました。
    絵柄は当時の流行だったのかと思っていたのですがバンド・デシネの影響については想像できませんでしたし、同じスタジオが続編も製作していたとは。
    おぼろげな知識しかなかったので詳細な紹介を読めて幸いです。

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